法務・会計・税務 2019.07月号

第20回 定款

堤 雄史(つつみ ゆうじ)
TNY国際法律事務所共同代表弁護士

東京大学法科大学院卒。2012年よりミャンマーに駐在し、駐在期間が最も長い弁護士である。SAGA国際法律事務所(www.sagaasialaw.com)代表であり、2016年2月よりタイにTNY国際法律事務所(www.tny-legal.com)を設立した。タイ法及びミャンマー法関連の法律業務(契約書の作成、労務、紛争解決、M&A等)を取り扱っている。

問い合わせ先:yujit@tny-legal.com

はじめに

 近時、定款の作成又は修正の依頼が増加している。そこで、旧会社法(Myanmar Companies Act, 1914)からの定款に関する変更点や、新会社法(Myanmar Companies Law, 2017)における定款に関する規定などについて解説する。

 旧会社法上は、定款は基本定款(memorandum of association)と附属定款(articles of association)の2つに分けられていた。しかし、新会社法上は、定款(constitution)に一本化された。

 また、旧会社法に基づきDICA(投資企業管理局)から発表されていたモデル定款は基本定款7条、付属定款24条の合計わずか31条の条文で構成された内容であった上、実務上、モデル定款を変更することが非常に難しかった。

 しかし、新会社法下では、DICAから発表されているモデル定款は165条で構成されており、かつ、実務上もモデル定款の変更が容易に認められるようになった。

 そのため、旧会社法下で設立された会社においても、自社の定款を新会社法の施行を契機として改めて作り直そうという会社が増加している。

定款の効力と事業目的

 定款の効力について、会社法11条において以下のとおり規定されている。

 (a)定款は、各株主、その相続人及び法的代理人にかかる定款の全条項を遵守しなければならないとする誓約条項を含み、かつ、各株主がそれぞれ定款の各条項に署名した場合と同一の効力を有するものとして、その条項に従い、会社及びその株主を拘束する。

 (b)会社、取締役会、各取締役、及び各株主は、本法に従って、定款によって修正される場合を除き、本法に定める権利、権限、義務及び責任を有する。

 (c)設立申請書にその名前が記載された株主及びその後に加わった株主は、定款に拘束されるものとみなされる。

 したがって、定款は会社を拘束する憲法のような位置付けにあり、定款に記載している内容は法律に違反する内容でない限り必ず遵守する必要があり、自社の定款の内容を正確に理解することが重要である。

 旧会社法下では定款に事業目的を記載することは必須であったが、新会社法下では任意的記載事項に変更された。また、モデル定款においても事業目的は記載されていない。会社によっては事業目的を記載しなければ当該会社が何を行っている会社か分かりづらくなることから定款に追記する会社も存在するが、その場合には、当該事業目的以外を行うことは定款上認められないことに留意が必要である。

定款の言語

 定款の言語については、ミャンマー語の作成は必須であり、英語は作成することができる旨規定されている。したがって、多くの日系企業は、英語で作成した上で、ミャンマー語への翻訳を行う。翻訳の誤りがある場合、原則としてミャンマー語が優先することから、慎重に翻訳を行う必要がある。

再登録及び設立との関係

 2019年1月末が期限とされていた新会社法に基づく再登録及び新会社法に基づく新規設立のいずれの場合においても、MyCO(オンライン登記システム)上でモデル定款をそのまま使用するか、独自定款を使用するかを選択する必要がある。前者の場合には、モデル定款をそのまま使用するとみなされる形であり、当該会社の商号等を記載した定款が発行されるわけではない点に留意が必要である。また、その場合には旧会社法のモデル定款を使用している会社においては当該定款は無効となり、新会社法に基づくモデル定款に変更された扱いとなる。

モデル定款を変更する必要性

 実務上、独自定款を作成する場合においても、全部を1から作成するのではなく、モデル定款をベースとすることが多い。その上で、独資の会社よりも合弁会社の方がモデル定款を修正する必要性が高いことが多い。なぜなら、合弁契約で規定するのみの場合、当該内容に相手方が違反しても契約違反を問うことは可能であっても、無効を主張することは難しい場合がある。そのため、例えば、各種決議の定足数、要件、対象事項等について合弁契約に合わせた修正を行う必要がある。

 なお、独資の会社においても、株主総会を電子的方法等で開催する旨を追記する等、会社の運営をより簡便にするための変更を行う会社は多い。

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