ミャンマーの最新ビジネス法務

第22回 振替休日

1.はじめに

 ミャンマーにはこれまで、日本と同様の振替休日制度はなかった。しかし、大統領府はこのほど、大統領府通達2019年36号(以下、「本件通達」という)を発布し、振替休日制度を創設した。既に19年下半期に入っているため、20年の事業計画を作成している会社は多いと予想されるが、振替休日により祝日が増加し、同じ稼働日を確保しようとすると人件費が増加する。したがって、事業計画に大きな影響を及ぼす通達となった。当該通達の背景としては、来年の総選挙を見据えた人気取りとの見方もある。

2.振替休日の内容

 日本の振替休日と異なる特徴は、土曜日も振替休日となる事、また場合によっては、本来の祝日より前の日が振替休日となっている点である。

(1)1月6日を「Independence Day」の振替休日とする。
(2)3月9日を「Dabaung」の振替休日とする。
(3)4月10日及び11日を「Thingyan」の振替休日とする。
(4)7月20日を「Martyr’s day」の振替休日とする。
(5)10月29日及び11月2日を「Thadingyut」の振替休日とする。
(6)11月27日及び11月30日をTazaungmoneの振替休日とする。

3.祝日一覧

 先般発出された20年の祝日に関する通達と今回の振替休日を総合すると、20年の祝日及び隣接する日曜日は以下の通りである。

(1)New Year’s Day 1月1日
(2)Independence Day1月5‐6日
(3)Union Day 2月12日
(4)Peasant’s Day 3月2日
(5)Dabaung 3月8‐9日
(6)Armed Force Day 3月27日
(7)Thingyan 4月10‐17日
(8)May Day 5月1日
(9)Kasong 5月6日
(10)Martyrs’ Day 7月19‐20日
(11)Waso 8月3日
(12)Thadingyut 10月29日‐11月2日
(13)Tazaungmone 11月27‐30日
(14)National Day 12月9日
(15)Christmas 12月25日
(16)New Year’s Eve 12月31日
(17)Eid Day 別途発表
(18)Deepavali Day 別途発表

4.祝日に出勤させた場合の影響

 休暇及び休日法に基づき、祝日に出勤させた場合、平均賃金の2倍及び通常の生活費手当を支払わなければならない。また、休日であれば振替休日を付与する形の対応も可能であるが、祝日については振替休日を付与したとしても祝日出勤手当を支払う必要がある。

 したがって、上記通達に基づく祝日に当初の予定通りに勤務させると祝日手当の支払を避けられない。それを踏まえて、早急に20年の会社の営業日を再検討する必要があると解される。

お問い合わせ

堤 雄史(つつみ ゆうじ)
TNY国際法律事務所共同代表弁護士

東京大学法科大学院卒。2012年よりミャンマーに駐在し、駐在期間が最も長い弁護士である。SAGA国際法律事務所(www.sagaasialaw.com)代表であり、2016年2月よりタイにTNY国際法律事務所(www.tny-legal.com)を設立した。タイ法及びミャンマー法関連の法律業務(契約書の作成、労務、紛争解決、M&A等)を取り扱っている。

問い合わせ先:yujit@tny-legal.com

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