2020.03月号

ミャンマーの最新ビジネス法務

第24回 マネーロンダリング禁止法に基づく直近の指令

ミャンマーの最新ビジネス法務

1.はじめに

 ミャンマーでは2014年3月14日付けでマネーロンダリング禁止法が公布されている。近時、当該法律の実効性を高めるため、関連する通知、指令、命令が相次いで発布されており、その内の一つが19年11月15日付け投資企業管理局(以下「DICA」という)指令19年17号(Directive on disclosure of beneficial ownership information、以下「本指令」という)である。本指令はミャンマーに設立された全ての法人(legal persons)及び法的取極(legal arrangements=以下、総称して「法人等」という)が適用対象となっている。本稿では本指令について解説する。

2.本指令の内容

•根拠規定及び目的
 本指令は、マネーロンダリング禁止法第69条第(c)項及び大統領府通知19年104号に基づき付与された権限に基づき発布された。

 法人等の実質的所有者の透明性及び説明責任を強化し、脱税、マネーロンダリング及びテロリストの資金調達を阻止することを目的としている。

•定義
 本指令に含まれる以下の用語は、以下の意味を有する。

 (1) 実質的所有者とは、顧客を無制限に所有又は管理する自然人(ら)及び/又は取引を実施している自然人を意味する。これにはまた、法人又は法的取極に対して最終的に効果的な管理を行う者も含む。

 (2) 法人とは、金融機関又はそれ以外の所有資産と永久的に顧客関係を確立することができる自然人以外の存在を意味する。この表現には、会社、企業、合弁、団体企業、財団、パートナーシップ、社団及びその他関連する類似の存在も含まれる。

 (3) 法的取極とは、明示信託又はその他同様の法的取極を意味する。

 (4) 指定された非金融事業及び職業(DNFBPs)には以下を含む。
  (i)特定のサービスを第三者に、事業として提供する会社サービスプロバイダー
  (ii)特定のサービスを提供する弁護士及び会計士を含む者

3.法人等の義務

 全ての法人等は、実質的所有者の情報を入手及び更新する必要があり、DICA及び内国歳入局に適時提出する必要がある。

 全ての法人等は実質的所有者の決定において最大限可能な限り、管轄当局と協力する必要がある。

 全ての法人等は、DICAウェブサイトで入手可能なオンラインフォームを使用して実質的所有者情報を提出する必要がある。

 全ての法人等は、会社が解散又は存在を取り消された日から少なくとも5年間、又は会社が専門の仲介又は金融機関の顧客ではなくなった日から5年間は、参照された情報及び記録を維持する必要がある。

4.罰則、施行日

 基本情報は公で入手可能となり、実質的所有者情報は管轄当局で入手可能となる。

 法人等が情報を正確に提供しなかった、更新しなかった、又は本指令を遵守しなかった場合、マネーロンダリング禁止法第11章に従い罰せられる。

 本指令は20年1月1日に施行された。

5.必要な対応

 本指令は20年1月1日より施行されたことから、施行後はDICAウェブサイトで入手可能なオンラインフォームを使用して実質的所有者情報を提出する必要がある。更新の頻度や方法についても別途DICAウェブサイトで公開されると思われ、所定の方法に従う必要がある。

 日系企業であれば従来からマネーロンダリングに関する法令について留意していると思われるが、ミャンマーにおいても上記の通りマネーロンダリング禁止法の運用が厳格化されていることから、ミャンマーに設立した海外法人及び現地法人についても法令の順守状況を改めて確認することが望ましい。

 特に、ミャンマー内資会社との合弁会社を設立している会社においては、相手方の会社がマネーロンダリング禁止法に違反している状況がないかについても確認を求める必要がある。

お問い合わせ

堤 雄史(つつみ ゆうじ)

堤 雄史(つつみ ゆうじ)
TNY国際法律事務所共同代表弁護士

東京大学法科大学院卒。2012年よりミャンマーに駐在し、駐在期間が最も長い弁護士である。TNY Legal (Myanmar) Co., Ltd.代表であり、グループ事務所としてタイ(TNY Legal Co., Ltd.)、マレーシア(TNY Consulting (Malaysia)SDN.BHD.)、イスラエル(TNY Consulting (Israel) Co., Ltd.)、日本(弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所)、メキシコ(TNY LEGAL MEXICO CO LTD)が存在する。タイ法、ミャンマー法、マレーシア法、日本法、メキシコ法及びイスラエル法関連の法律業務 (契約書の作成、労務、紛争解決、M&A等)を取り扱っている。

Email:yujit@tny-legal.com
TEL:+95(0)1-9255-201
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