2020.11月号

ミャンマーの最新ビジネス法務

第28回 商標法に基づく優先出願開始

はじめに

商業省は8月28日付けで商標法に基づく登録申請に関する命令(以下「本命令」という)を発布した。商標法は昨年1月に公布されていたものの、施行時期は未定であった。

本命令は先使用主義から先願主義へ移行する旨及び、10月1日より商標法に基づく優先出願(ソフトオープニング)を開始する旨を規定している。

ミャンマーは商標の国際登録について定めたマドリッド協定に加盟していないため、ミャンマーで出願しなければ商標を保護することはできない。先に第三者に自社の商標を取得されてしまった場合、奪回は困難である。

施行直後は出願が世界中から殺到することが予想されるため、対応可能な企業は優先出願期間中に出願することが望ましい。

なお、商標法に基づく出願は全てオンラインで行われ、オンラインシステムのID及びパスワードがミャンマーに所在する法律事務所(当事務所を含む)のみに付与される。

そのため、ミャンマー以外の国の法律事務所に依頼しても結局は現地の法律事務所に業務を委託する必要がある。以下、本命令の内容を紹介する。

本命令の内容

1. 商標法第93条(a)項に規定される商標所有者とは、商標法施行前に契約書等登記所において登記された商標所有者と、登記されていないが連邦内市場において実際に使用されている商標所有者をいう。

2. 上記第 1 条に記載される商標所有者は、商標法第93条(b)項規定の使用による優先権を取得希望の場合は、2020年10月1日から商標登録申請の受付を正式に開始する日までの期間に登録官に対して申請をしなければならない。

3. その期間内に申請し、規定の料金を納入して、申請に関して必要とする基本要件が満たされた者は、商標登録申請の受付を正式に開始する日付を登録出願日として認められることになる。

4. ①第一の方法として商標所有者は、商標登録申請の代理業務サービスを提供している企業、会社及び法律事務所を通じて消費者局より定められた電子的手段で申請することができる。

②第二の方法として商標所有者は、自分で、または第一の方法記載の代理業務認可所持者を通して消費者局より定められた電子的手段で申請することができる。

③上記②の手段で申請した商標所有者は、①の手段で申請した商標所有者と同じく商標法第93条(b)項規定の使用による優先権が享受でき、①と②両方とも同じ登録出願日が認められる。

5. 申請の際は、今度商標権出願する標章と、過去に契約書等登記所において登記した商標、または市場で実際に使用している商標とは同一でなければならない上、当該商標を使用する商品または役務も同一でなければならない。商品または役務をより増やして表示した場合でも、その増やした分のものは、検討対象外となる。

6. 商品または役務を表示する場合は、標章登録のため商品及び役務の国際分類に基づいて、詳細に表示しなければならない。

7. 商標登録出願手続きを含むその料金の金額及び納入方法に関しては、商標法を施行する命令が出される前に別途告示する。

8. 過去に契約書等登記所で登記済みであること、または登記していないが当該商標を連邦内市場で使用していたこと、もしくは現在に至るまで当該商標を自分一人だけが使用していることの事実として、下記のいずれかの資料などを立証書類として提出することができる。

・ 過去に契約書等登記所で登記された標章
・ 契約書等登記所で登記された登記証書(正式複写)
・ 新聞広告または一般に告示したことの証明
・ 連邦内の市場において実際に使用したことの証明
・ 自分の商標を広告したことの証明
・ 納税の領収書または経費に関する領収書
・ 申請人が、過去に契約書等登記所で登記した商標所有者でない場合は、商標所有者から譲渡したまたは所有者名義を変更したことの証明
・ その他の証明

9. ミャンマーの商標法に基づく商標権を取得希望であるが、商標法第 93 条(a)項規定に該当しない標章所有者は商標法施行後、商標登録出願が正式に開始した日から、規定された商標法、規則などに基づき出願することができる。

寄稿者プロフィール
  • 堤 雄史 プロフィール写真
  • TNY国際法律事務所共同代表弁護士
    堤 雄史(つつみ ゆうじ)

    東京大学法科大学院卒。2012年よりミャンマーに駐在し、駐在期間が最も長い弁護士である。TNY Legal (Myanmar) Co., Ltd.代表であり、グループ事務所としてタイ(TNY Legal Co., Ltd.)、マレーシア(TNY Consulting (Malaysia)SDN.BHD.)、イスラエル(TNY Consulting (Israel) Co., Ltd.)、日本(弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所)、メキシコ(TNY LEGAL MEXICO CO LTD)が存在する。タイ法、ミャンマー法、マレーシア法、日本法、メキシコ法及びイスラエル法関連の法律業務 (契約書の作成、労務、紛争解決、M&A等)を取り扱っている。

    Email:yujit@tny-legal.com
    Tel:+95(0)1-9255-201
    URL:http://tny-myanmar.com/
    URL:http://tnygroup.biz/

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