2020.06月号

日刊工業新聞

コロナ打撃 中堅・中小サプライヤー 需要回復までの対策カギ

コロナ打撃 中堅・中小サプライヤー 需要回復までの対策カギ

新型コロナウィルス感染拡大による自動車メーカーの世界的な工場稼働停止が、それらを支える中堅・中小部品サプライヤーの経営を直撃している。日本では大部分の県で緊急事態宣言が解除され、海外でも自動車メーカーの工場が稼働を再開し始めた。しかし経済の動きは鈍く、需要回復にも時間がかかる見通しだ。サプライヤーからは、早期の本格的な経済活動再開を願う声が漏れる。
中堅・中小サプライヤーからは早期の本格的な経済活動再開を願う声が漏れる(イメージ)
▲ 中堅・中小サプライヤーからは早期の本格的な経済活動再開を願う声が漏れる(イメージ)

「5月の自動車部門の受注は、計画比で6割以上減りそうだ」―。自動車用ブレーキ部品などを手がけるムラコシ精工(東京都小金井市)の村越雄介社長は、肩を落とす。鉄鋼材料の加工メーカーも、4月の稼働は前年同月比でほぼ半減。5月も同程度を見通す。

2月に入って車メーカーが国内外で工場の稼働停止に踏み切った影響が、4月以降顕著に表れ始めている。売り上げで見ると、東海地区のネジ部品メーカーは4月が3割、5月は5割超減ると見通す。東研サーモテック(大阪府寝屋川市)も「売り上げは4月から2割減。5、6月は5割減を見込んでおり、4月以降は単月ベースで赤字だ」。多くの企業が4月-6月は単月で1割-5割程度の売り上げ減を予想する。

車メーカー各社は中国で通常稼働を再開したものの、全体の生産回復はまだまだ見通せていない。トヨタ自動車は欧州や北米などでも稼働を再開したが、国内は6月の稼働停止期間を拡大し減産に踏み切る。ホンダも北米生産を徐々に再開するが、全国規模での販売正常化は夏頃を想定。スズキやマツダなども一部で稼働を再開し始めているが、先行きは不透明だ。

この状況はいつまで続くのか。シート用部品などを手掛ける三ツ知の村越康幸取締役は「7月以降はなんとか前年同月比8割程度まで戻ってくれれば」と期待を込めるが、デンソーの有馬浩二社長が「新型コロナとの戦いはいつまで続くか見通せない」と話すように、影響は長期化しそうだ。ムラコシ精工の村越社長は「夏にかけての受注も流動的で読めない。9月までの上半期は半減を想定して対策を進める」と話す。

防音材などを手がける愛知県の中小サプライヤー首脳は「5月までは我慢の時」と覚悟するが、経済活動が本格的に再開する時期が不透明なことに気をもむ。先が見通せない状況は各社の体力を奪う。「経済活動が始まらなければ根本解決にはならない」。

今後の資金繰りも懸念材料だ。各社は工場の稼働減に伴い従業員を休業させ、雇用調整助成金を活用する考え。政府は助成金の上限を増額する方針を示したが、多くのサプライヤーからは「手続きが煩雑」「問い合わせ窓口に繋がらない」「申請期間を延長してほしい」などの声が挙がる。迅速に受け取れなければ、運転資金にも影響を及ぼしかねない。

※記事提供:日刊工業新聞(2020/5/19)

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