日刊工業新聞

グローバル 経営 適地生産適地販売 デクシス―タイに現法、東南ア照準

外観検査装置、3年後工場/現地リーダー育成も推進

デクシスは、東南アジアでの事業展開を本格化する。タイに現地法人を設立し、3年後には主力の外観検査装置を生産する工場を建設する。タイに続き、ベトナムに商品を供給し、その後、インドネシアも視野に入れる。東南アジアで基盤固め後には、グローバル展開にアクセルを踏む。


山形事業所(寒河江市)で生産する外観検査装置

デクシスは7月、タイに技術サポート拠点「デクシス・タイランド」を設立する。すでに複数の取引先が製造拠点を持ち、新規開拓も期待できることから、タイに現地法人を設ける。資本金は300万バーツ(約970万円)で、デクシスが49%、その他の3社が合わせて51%出資。社長にはデクシスの須貝康雄管理本部長が就任する。

当面、技術サポートを行うとともに、タイの現法に出資する企業から部材の供給を受け、外観検査装置を生産。中核部品の画像処理装置は日本から供給する。ターゲットは日本と同様に医療・医薬に加え、最近、受注が増加している自動車関連向けだ。

3年後に海外事業を軌道に乗せ、海外売上高比率を10―20%にし、タイ現法の黒字化を目指す。同時に、現地に外観検査装置を生産する工場を建設する。自社工場を稼働した後は部材を自社で現地調達するが、画像処理装置は日本から供給を続ける。

東南アジアでの本格的な事業展開に備え、人材育成もスタートしている。日本の大学でロボットや制御技術などを学んだタイ人を採用しており、本社で育成し、将来はタイ現法のリーダーとして登用する。関社長は「株式の上場を目指している」としており、海外展開をその原動力にする考えだ。

国内でも山形県天童市に工場を建設し、2018年8月までに稼働する。開発機能も持たせる。同寒河江市の工場が手狭になり、協力会社からも、スペースを借りて生産を行っているためだ。天童市の工場が完成することで「自社工場で外観検査装置の一貫生産が可能になり、生産の効率化が実現する」(関社長)。

さらに国内の新工場に続き、タイでも自社工場が完成すれば、国内と東南アジアに製品を迅速に安定的に供給できる体制が整う。

デクシスの売上高は16年9月期に10億9,000万円だったが、17年9月期に13億円、18年9月期に15億―16億円と好調に推移する見通しだ。これは同社ブランドが市場に浸透しつつあることに加え、人手不足と人件費の高騰を背景に製造現場での自動化が進み、検査工程でも合理化が求められているからだ。

同社が大きく成長するためには、高い品質の製品を供給するだけではなく、製品を迅速かつ安定的に供給する必要がある。そのため、国内外に自社の生産拠点を持つことは強みとなる。

生産体制の強化に加え、今後も「価格ではなく、当社でしかできないことを提供する」(同)ことができれば、海外展開により経営を本格的な成長軌道に乗せられる。

※記事提供・日刊工業新聞(中沖泰雄 2017/5/31)

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