2016.10月号

日経ビジネススクールアジア特別講座 サシン・セッション 新興アジアビジネスを成功に導く、戦略的手法を学ぶ

nikkei

急速な発展を遂げる新興アジア市場で日系企業が国際競争を勝ち抜くには、戦略的に組織を導く次世代リーダーの育成が急務だ。日経ビジネススクールアジアでは、9月13・14日の2日間、タイ国立チュラロンコン大学サシン経営管理大学院との提携セッションをバンコクで開催。大手から中小、在タイ歴もさまざまな日本人エグゼクティブがサシンのファカルティによる事業・組織戦略講座に参加し、アカデミックな知識から実践のフレームワークまでを学んだ。

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サシン経営管理大学院のクリッティーニ・ナタブシット准教授

課題をチャンスに変えるための「考え方」を鍛える

14日の午前中には、サシン経営管理大学院のクリッティーニ・ナタブシット准教授が「マーケティング戦略~タイ人消費者の特性を知る~」をテーマに講義を行った。
クリッティーニ准教授は、新興アジアビジネスでは急激な都市化や脆弱なインフラ、蔓延する汚職、貧富の差など、市場が抱える課題をチャンスとして捉えることが重要だとしたうえで、「企業が国境を超えてビジネスを展開するには、相手国を理解したコンセプト作りが必要。タイは格差社会のため、異なるセグメントがそれぞれに持つ課題と、彼らの心理的・社会文化的な背景を捉えることはマーケティング戦略を立てる鍵になる。大切なのは情報を理解し、考える力」と話し、タイの中間層・富裕層・貧困層、それぞれの層を捉える方法について、事例をもとに解説した。
同日午後には、同大学院日本センターの藤岡資正所長が教壇に立ち、「メコン地域における戦略的人的資源管理:異文化マネジメントとマネジメント・コントロールシステム」をテーマに講義。異文化経営、ダイバーシティマネジメントにおける戦略的人的資源管理の重要性について説いた。

新興アジアに求められるリーダー像とは

藤岡氏は、新興国ビジネスに求められるのは、企業が置かれている文脈を理解して事業環境を構築して動かしていくリーダーであると話し、具体的にどのようなリーダーシップが求められるのか、「普遍的なリーダー」と「アジアに特化したリーダー」の2つの視点から考察を行った。
また、現地化とは何かという問いを立て、「現地組織の重要なポストに日本人を登用するのであれば、なぜ日本人でなければならないのかという理由を明確にし、名目的な登用とは異なることを示す必要がある。理由によっては、ヒトの現地化が進まない原因は日本人にあるという意識を持つべきではないだろうか。商品やサービスの最適化を追求していくには、戦略的な意図と人材戦略に一貫性を持たせていくことが重要になる。コンテキスト(背景や環境)を共有していない国へ企業が国境を越えて出ていく時、根源的な問いに答えられなければ人材育成もできない」と話し、海外子会社における外国人社長の比率が欧州とASEANで増えてきているだけでなく、コスト面からも日本人駐在が削減方向にある今、現地人材を育成する必要性は明らかであり、企業の海外売上のシェアが増すにつれて、日本人駐在員が中心的役割を担う海外拠点経営から、国籍に関係なく優秀な人材が国内外の重要なポストを担う時代になっていると強調した。同時に、組織の慣性を変えることは容易ではなく、多くの進出企業にとって課題となっていること。また戦略の実践には、イノベーションを起こす『知識創造』とその核となる人的資源が必要だが、現地責任者は人材開発にかけるコストを削減しがちなのが現状であると訴えた。

現地化には人材の多様化が不可欠

さらにマネジメント能力の開発面では、いかに成果を出すかよりも、いかに多様な人材を動かして成果を上げるかにシフトしていくことがポイントになること。異文化マネジメント能力の開発面では、外部と同じだけの多様性を内部でも持つことが鍵になると説明し、現地適応の重要性と、日本市場の相対的な需要がアジアに対して低下している事実からも、グローバル戦略からマルチナショナル戦略に変化していくことが課題であるとまとめた。
最後に、これからの時代、いかに優秀な人材を組織に取り込むかは非常に重要なトピックであり、日本企業離れが急速に進む今、企業が人を選ぶ日本モデルから、企業が人に選ばれる新興国モデルにシフトするためにも、日本企業であることを売りにするのではなく、企業としての魅力を売りにできるようブランディングに注力すべきであるとメッセージを送った。

nikkeiサシン経営管理大学院日本センターの藤岡資正所長(教壇中央)

※講義の詳しい内容は、NIKKEI STYLE出世ナビ(http://style.nikkei.com/career)に掲載予定です。

サシン・セッション 日本人受講者の声

N.S.L. Construction Co., Ltd.
Sales&Marketing Manager 関澤英明さん (在タイ歴10年)

「タイだけでなく、ASEAN全体で事業を考えなければならない時代になりました。“Think Global, Act Local”よりも“Forget Global, Act Regional” で、より地域レベルで事業を考え、アジアと謙虚に向き合うべきだという講義内容が印象に残っています。アジアのビジネスについてアカデミックな場で学ぶのは初めてでしたが、掘り下げて勉強する良い機会になりました」。

E & H Precision (Thailand) Co., Ltd.
PRESIDENT & CEO 平岡泰浩さん (在タイ歴21年)

「アカデミックな視点でアジアのビジネスを専門的に学べる機会ということで、昨年に続き、今年も受講を決めました。当社は中小企業ですので、学んだ内容を自社のスケールに落とし込んでいます」。

大手日系企業、社長職 (在タイ歴1年未満)

「唯一の日本人駐在という立場もあり、タイ人リーダーの育成に課題意識をもって参加しましたが、異文化マネジメントには『タイ人とはどのような存在か』を知るだけでなく、『国際的には日本人が極めてユニークな存在なのではないか』と、自身を振り返ることも重要という考え方を知ることができました。今後も心に留めていきたい内容です」。

11月にはタイ人向けプログラムも開催!

申込み受付中
11/2(水)~4(金) SASIN Programs for Thai senior and middle managers
タイ人シニア・ミドルマネジメント向け
サシン経営管理大学院 次世代ビジネスリーダー育成講座

A premium session for Thai next generation leaders lectured by experienced faculty members of Sasin Graduate Institute of Business Administration.
Amid rapid and drastic growth of economy in the Mekong Region , it is now indispensable for all the Japanese corporations based in ASEAN countries to secure and develop highly qualified , knowledgeable local business leaders who have both global and local view-points in order to survive in today’s highly competitive business environment.This extensive program specially designed for Thai next generation leaders working for Thailand-based Japanese corporation consists of six in-depth lectures essential for developing authentic leadership.

タイ人次世代リーダー育成を目指した、タイ語で行われるプレミアム講座です。”リーダーシップ”を軸に、サシン経営管理大学院MBA教員がビジネスリーダーに欠かせない要素を伝授するほか、日本企業全般に見られる特徴や考え方を、事例を交えてレクチャーします。

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*Themes of each program are subject to change without prior notice.

【Fee】
SASIN Programs for Thai senior and middle managers
15,000B/per class 65,000B/set(6 classes)
★ Bonus Session and Review Session will be available
for those who apply for any one of the classes.

【Venue】
Sasin Graduate Institute of Business Administration(Bangkok)
◎Application/Inquiry
http://school.nikkei.co.jp/special/nbsasia/index.html

sashin
タイの国立大学トップ校、チュラロンコン大学の上に付属する最高教育機関。米ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院およびペンシルベニア大学ウォートン・スクールとの学術協定により設立され、最新の経営ノウハウを教育内容に常に取り入れている。そこで教えるファカルティも海外の一流ビジネススクールでの教育を受けてきた人材が揃う。日本ではわずか2校(2016年6月現在)しか取得していない国際認証、AACSBを取得している。

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