1.背景・経緯
ベトナム政府は2019年4月19日、中古の機械・設備、技術ライン(生産ライン)の輸入について定めた首相決定18/2019/QD-TTg号を公告しました。
世界の“産廃処分場”化を懸念し、中古機械の輸入を極力制限したい政府と、ベトナム製造業の発展段階にマッチした中古機械を有効活用したい外資を中心とする企業の間で意見が分かれ、14年の科学技術省通達以来、国と産業界において激しい議論になっていた重要なトピックです。
2.輸入できる中古機械・ライン
本決定は、ベトナムでの生産活動に使用するHSコード第84類、85類に属する中古の機械・設備、技術ラインの輸入手続きを定めており、輸入するには左記の要件を満たす必要があります。
3.ラインと機械の区別と例外の明示
従前の通達では「設備」とひと括りにされていましたが、今回の決定により「技術ライン」と「機械・設備」が区別されて要件がそれぞれ設定されたほか、原則である「10年」を超えて輸入が認められる機械類が附属書でHSコードとともに明示されました。例外にはエンジニアリング、木材加工、製紙の3分野で利用される金属圧延機や旋盤などの工作機械、木材乾燥機などがあり、製造15年あるいは20年以内であれば輸入できます。
4.おわりに
本決定は6月15日に発効しますが、ベトナムでは規則と運用が異なったり、運用が安定するまでに時間がかかったりすることが多いため、今後の動向に注意が必要です。
⁴2019年1月10日付「ネガティブ事業及びコンセッション事業リストの承認に関する首相令(No03/PM)」が発布され、14分野44業種のネガティブ事業、7分野23業種のコンセッション事業がリストに掲げられています。
山本 史
One Asia Lawyersベトナム事務所に駐在。ベトナム国内で10年以上の実務経験を有する。ネイティブレベルのベトナム語を駆使し、現地弁護士と協働して各種法律調査や進出日系企業に対して各種法的なサポートを行う。
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