法務・会計・税務 2020.01月号

ASEANビジネス法務 最新アップデート ベトナム改正労働法案の概要-後編-

前号においてお知らせした通り、昨年11月20日、改正労働法案がベトナム国会において可決されました。本稿では前編に引き続き、現行法と比較する形で、改正労働法の概要をご紹介させていただきます。なお、改正労働法の施行日は2021年1月1日とされています。

1.労働契約の種類の変更
現行法においては、労働契約の種類として①12ヵ月未満の季節・特定業務労働、②12ヵ月以上36ヵ月未満の有期契約、③無期契約の3つが規定されていました。

改正労働法においては、上記①12ヵ月未満の季節・特定業務労働について削除され、以下の2つに整理されました。
① 無期限の契約
② 36ヵ月未満の有期契約

2.ベトナム人配偶者を持つ外国人の労働許可
ベトナムで就労する外国人は、労働許可を取得する必要がありますが、現行法においては、当該許可の取得が不要となる者について規定がなされています。

改正労働法においては、新たに「ベトナム人配偶者を持ち、ベトナムに居住する外国人」は労働許可の取得が不要であると規定されました。これにより、ベトナム人の夫・妻を持つ外国人がベトナムで就労する場合、労働許可の取得が不要となります。

他方、現行法においては「ベトナムで就学しながら働く外国人」は、労働許可の取得が不要と規定されていたところ、改正労働法においては、当該規定は設けられていません。

3.従業員からの一方的な労働契約の解除
現行法においては、有期契約労働者については、従業員からの一方的な労働契約の解除について、法定の事由が必要とされていました。
改正労働法においては、有期契約労働者は、上記法定の事由が無くとも、事前通知義務を果たすのみで雇用主との労働契約を一方的に解除することが可能とされています。

なお、無期契約労働者については、現行法においても事前通知のみで一方的な労働契約の解除が可能であり、この点は改正労働法においても同様とされています。

4.電子式の労働契約が有効に
現行法において、文書によって締結されるものとされていた労働契約の形式について、改正労働法では文書による場合の他、電子式の労働契約も有効とされています。

5.給与の決定
改正労働法においては、企業は、少なくとも各地方の最低賃金を上回っている限り、自由に賃金表を作成し、給与構造を設定できるということが規定されました。

以上、ベトナムにおける改正労働法の変更点の概要について速報版としてお知らせさせていただきました。

本記事執筆段階では、改正労働法の全文はまだ公開されていませんでした。改正労働法の詳細な内容については、公開された条文を直接ご確認いただけますと幸いです。

松谷 亮

松谷 亮
日系大手のIT企業および化学・電子部品メーカーにて社内弁護士として合計5年間勤務後、2019年よりOneasiaベトナムオフィスへ入所。クロスボーダーの新規事業開発案件、取引相手との紛争処理案件、知的財産に関する契約交渉、紛争処理案件を数多く経験しており、IT・製造業の法務案件を専門とする。

One Asia Lawyers
One Asia Lawyersは、ブルネイを除くASEAN全域及び東京にオフィスを有しており、日本企業向けにASEAN地域でのシームレスな法務アドバイザリー業務を行っております。

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