2020.08月号

ASEANビジネス法務 最新アップデート

ラオスのPPP法草案の概要について(第1回)

ASIAビジネス法務 最新アップデート

1.背景

 アジアにおいてはインフラ整備の充実、加速が課題となっており、そのためには巨大な資本の投下が必要となります。7月7日には国土交通省が「国土交通省インフラシステム海外展開行動計画2020」を発表。新興国を中心とした膨大なインフラ需要は、急速な経済成長と都市化を背景にさらなる拡大が予想されており、日本はその需要を取り込む必要があります。

 特にラオスは、これまで国の基盤となる各種インフラの整備を国家予算と外国からの資金援助に頼ってきました。

 2016年~20年までの第8次国家社会経済開発5ヵ年計画では、強い経済基盤と経済的脆弱性の低減を成果の一つとして掲げており、ハード、ソフト両面での実現のため、官民連携プロジェクト(Public Private Partnership、以下「PPP事業」)に期待する声が高まっています。

 そこでPPPの法的側面を整理するために、現在ラオス計画投資省のウェブサイト上に公開されているPPP法草案の概要について、複数回に分けて解説いたします。

2.ラオスにおける主なPPP事業分野

 多様なリスクが伴うにも関わらず、ラオスにおいてPPP事業は法制度が未整備な状態で実施されており、民間事業者が政府や各省庁と直接交渉し、個別の契約を締結するような流れとなっています。

 その事業分野としては主に、水力発電、国道開発整備、空港開発整備等が挙げられますが、投資の形態としては、外国企業が政府と合弁会社をラオスに設立し、政府から土地使用権や事業運営権等の権利を取得して実施する形態が主流となっています。

事業例① 空港運営事業

 JALUXと豊田通商はラオス空港公団と共に、ラオス現地法人ラオジャパンエアポートターミナルサービスを1999年に設立、ラオス政府と運営事業契約を締結し、首都ビエンチャンにあるワッタイ国際空港の国際線ターミナルの運営に20年以上に亘り携わっています。これは、日本企業が海外で取り組む初の空港ターミナル運営民営化プロジェクトとなっています(※1)。

 同プロジェクトでは、日本企業の持つノウハウにより空港管理・運営がなされ、ラオス政府に対する円借款により、国際線ターミナルの拡張と国内線ターミナルの新設、駐車場の整備を行い、機能が強化されています。

事業例② 水力発電事業

 2006年から関西電力がラオス政府から独占開発権を取得して、中部ボリカムサイ県でナムニアップ水力発電プロジェクトを実施しています。

 現地法人ナムニアップ1パワーが13年にラオス政府と27年間の売電及び事業権契約を締結し、一定期間管理・運営を行って資金を回収した後、政府側に施設を譲渡する方式を取っています(※2)。

 特に電力発電に関しては、官民連携のモデルケースとして成功している実績があり、ラオス政府としては、その成功体験を電力分野のみならず、公共施設の維持管理、医療分野、教育分野等においても実現させたいという思惑があります。

 そのような環境の中で、ラオスにおけるPPP法は非常に重要な法律と位置付けられており、15年頃からアジア開発銀行の協力の下、草案の作成が進められています。2020年度に入り、国際社会や国際機関からのさらなる後押しを受け、PPP法の成立が前進すると見込まれています。

 次回は、そのPPP法の草案について解説します。

※1 豊田通商HPより引用(https://www.toyota-tsusho.com/press/detail/180809_004232.html
※2 関西電力HPより引用(https://www.kepco.co.jp/corporate/international/generate/laos.html

寄稿者プロフィール
  • 藪本 雄登 プロフィール写真
  • 藪本 雄登

    One Asia Lawyersの前身となるJBL Mekongグループを2010年に設立、メコン地域流域諸国を統括。カンボジア、ラオス、タイ、ミャンマー、ベトナムで延べ10年間に亘る駐在・実務経験を有し、各国の現地弁護士と協働して各種法律調査や進出日系企業に対する各種法的なサポートを行う。インフラプロジェクトについては、タイ、カンボジア、ミャンマーにおける道路敷設や鉄道、上下水道、高速道路のメンテナンスなどの開発プロジェクト、ラオスでの電力開発案件等も支援。

    E-mail:yuto.yabumoto@oneasia.legal

  • One Asia Lawyers
    One Asia Lawyersは、ブルネイを除くASEAN全域、南アジア及び東京にオフィスを有しており、日本企業向けにASEAN及び南アジア地域でのシームレスな法務アドバイザリー業務を行っております。2019年4月1日より南アジアプラクティスを本格的に開始。

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