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ラオスにおける土地法の改正について(第1回)

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1.背景

近年、外国企業によるラオスへの投資が増える一方で、ラオス国内での紛争も増加しています。ラオス裁判所のデータによると、事件数は2017年の23,690件から18年には26,809件に上っています。

その中でも、当社のラオス法弁護士によれば不動産に関連する紛争が増加傾向とのことです。特に、不動産開発事業者の開発プロジェクトが途中で頓挫し、不動産やコンドミニアムの購入者に損害が生じるような事象が社会問題化しています。そのため、土地法の改正は喫緊の課題となっていました。

2.ラオスにおける土地法

ラオス土地法は1997年に成立し、その後2003年に一部改正されています。その後、上記のような事情から、約6年の歳月をかけて改正に取り組んでいましたが、ついに19年6月21日に国会にて承認され、官報掲載日(20年8月12日)から15日後に施行されました。

この改正は、20年5月に施行された民法典(特に所有権、地役権、地上権、担保権)と整合性を取ることも目的の一つとなっています。

全188条から構成される改正土地法は、その半数以上が新規条文となるなど、画期的な内容となっています。そのため、外国人投資家にも大きな影響が生じると考えており、段階的にその内容を紹介します。ただし、いくつかの改正内容については意味が曖昧であったり、趣旨が不明確であるものも散見されるので留意が必要です。

今回は、改正の中でも外国投資や外国企業に主に影響を与えうる土地の定義や外国人、外国法人による土地のリース規制について説明します。

3.土地の定義

ラオス土地法第3条には「ラオス人民民主共和国の土地は、国家が所有権を有し、政府が代理となり統一的に管理する」とあり、ラオス国籍者、外国人、内国法人、外国法人、団体は、何人も土地を所有することはできません。

従って、原則としてラオス国籍者に対しては、土地権原書(バイタディン)を伴う土地使用権(保護権、利用権、用益権、譲渡及び相続権)が与えられ、外国人に対しては土地使用権をリース契約、コンセッション契約に基づき取得することになります。

4.土地使用権のリース期間

ラオス土地法116条から120条には、外国人に対する土地使用権の利用に関する期間や制限事項について規定されています。なお、政府が分配する土地に限っては、外国人(法人)であっても期限付きでその政府の土地使用権を購入することが可能となっています。

寄稿者プロフィール
  • 内野 里美 プロフィール写真
  • 内野 里美

    One Asia Lawyersラオス事務所に駐在。ラオス国内で10年以上の実務経験を有する。ネイティブレベルのラオス語を駆使し、現地弁護士と協働して各種法律調査や進出日系企業に対して各種法的なサポートを行う。

  • One Asia Lawyers
    One Asia Lawyersは、ブルネイを除くASEAN全域、南アジア及び東京にオフィスを有しており、日本企業向けにASEAN及び南アジア地域でのシームレスな法務アドバイザリー業務を行っております。2019年4月1日より南アジアプラクティスを本格的に開始。
  • 【One Asia Lawyersグループ ラオスオフィス】
    Phanthaly Law: 2nd Floor, Vieng Vang Tower, Bourichane Road, Unit 15, Dongpalane Thong Village, Sisattanak District, Vientiane Capital, Lao PDR Lao
  • +856-205453-0065

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