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ラオスにおける土地法の改正について(第2回)

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背景

10月号に続きラオスの改正土地法について解説します。ラオスでは建物を登記する制度が存在せず、土地権原書に建物の存在が記載されることもありません。しかし、ラオスでは近年急速にコンドミニアムの開発が進んでいることから、今回施行された改正土地法において初めて「コンドミニアム」の概念が規定され、区分所有権に関する規定が置かれました。その内容を簡単に紹介します。

コンドミニアムの定義

「事業者がコンドミニアム建設用地として政府に対象の土地を登録し、政府よりコンドミニアム建設許可が得られた複数の部屋を有する高層の建築物」と定義され、その登記及び購入に関して、下記の通り定めています(第4条29項)。

(1)コンドミニアム事業者の要件

コンドミニアムを建設しようとする国内外の法人の事業者(以下、「ディベロッパー」)は、以下の許可証を関連する省庁より取得する必要があると規定されています。

ウの建設用地の登録に関しては、県レベルの天然資源管理省は申請書を受理後、10営業日以内に完了しなければならないと規定されています(第108条)。

政府、ラオス国籍者又はラオス内資法人から賃借した土地である場合、コンドミニアム建物の登録上の名義は賃借人であるディベロッパーではなく、土地権原書の保有者である賃貸人の名義で登録されることになるため、留意が必要となっています(第108条)。

(2)コンドミニアムの土地の使用権及びユニットの所有権

今回の改正においてラオスでは初めて、いわゆる区分所有権に関する規定が第132条に定められています。ポイントとしては、コンドミニアムのユニット購入者がラオス国籍者である場合、コンドミニアムの土地面積に対するユニットの面積の割合に従って、分譲される土地の使用権(日本でいう敷地利用権)と契約に基づき購入したユニットの所有権を保有することができます。

一方、外国人や外国法人が購入した場合、上記のいわゆる敷地利用権は、外国人に対して付与されないと規定されており、ユニットの所有権のみ建物が存在する期間※、所有することができます。

つまり、敷地利用権を取得することができないため、コンドミニアムが滅失等した場合において、どのような処理となるのか別途検討が必要となります。また管理組合の設置等についても言及がないため、今後の細則の整備等の動向に注視が必要です。

なお、コンドミニアムのユニット所有者は、天然資源環境課において、所有権の登録を行うことになりますが、まだ詳細な手続きについては明確に定められていない状態であり、今後動向を注視していきたいと思います。

※ ラオス語は「寿命」の意味ですが、耐久年数であるのか、耐用年数であるのかは明確ではありません

土地権原書の発行について

不動産へ投資する際に重要となる土地権原書については、今までは県レベルの土地管理局より発行されていましたが、今後は手続きの迅速化を図るため、土地が存在する場所により近い管理組織である郡レベルの天然資源環境事務所より発行されることになっています(第170条)。

また、コンピューター上で管理された国家土地データベースに一般市民がアクセスできるシステムを導入することが規定されています(第99条)。

なお、投資家やディベロッパーが、旧土地法を準拠として土地に関する契約を政府と締結している場合、その契約期間が満了するまで、これまでの条件で契約を継続することができます(第188条)。

寄稿者プロフィール
  • 内野 里美 プロフィール写真
  • 内野 里美

    One Asia Lawyersラオス事務所に駐在。ラオス国内で10年以上の実務経験を有する。ネイティブレベルのラオス語を駆使し、現地弁護士と協働して各種法律調査や進出日系企業に対して各種法的なサポートを行う。

  • One Asia Lawyers
    One Asia Lawyersは、ブルネイを除くASEAN全域、南アジア及び東京にオフィスを有しており、日本企業向けにASEAN及び南アジア地域でのシームレスな法務アドバイザリー業務を行っております。2019年4月1日より南アジアプラクティスを本格的に開始。
  • 【One Asia Lawyersグループ ラオスオフィス】
    Phanthaly Law: 2nd Floor, Vieng Vang Tower, Bourichane Road, Unit 15, Dongpalane Thong Village, Sisattanak District, Vientiane Capital, Lao PDR Lao
  • +856-205453-0065

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