日系企業、販路開拓への新たな道 タイ、「モダントレード」の現場を見てきた!

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タイ最大規模の財閥であるチャロン・ポカパン(CP)グループ傘下のCP ALL社が展開、タイのコンビニエンス 市場でシェア9割を占める「セブンイレブン」など、現地の小売市場は日系企業がタイで販路を開拓するにあたって無視できない存在だ。日本に影響されたタイ人メンバーが中心となって、日系企業向けにビジネスコーディネート、販路開拓支援などを行うMEDIATOR CO., LTD.( 以下、メディエーター)が「タイ市場における販 路開拓」をテーマに開催した5月19日のセミナーと、6月9日の視察ツアー「m-trip」の内容をリポートする。

「モダントレード(スーパーマーケ ットやコンビニエンスストア)」でトップシェアを誇るタイ企業のビジネスモデルについて講演されたセミナーの前半では、メディエーター代表のガンタトーン・ワンナワス氏がタイの商習慣や価値観の違い、市場規模、タイの流通構造などについて説明。現地市場を攻略するために必要な基礎と市場の捉え方について解説した。

reportガンタトーン氏(左)とCP ALL社のマナ氏(右)

「セブンイレブン」でタイのコンビ ニシェアトップを走るCP ALL社

セミナー後半では、タイの「セブンイレブン」を運営するCP ALL社の International Business Networking DepartmentでGeneral Managerを務めるマナ・アマタノン氏 が、同社のビジネスモデルについて日本語で解説した。
タイにおけるセブンイレブンの店舗数は、日本に次いで世界で2番目に多い。一回の来店で消費者が使う金額は約60〜70バーツ(約200円)。国内における店舗数は2017年半ばには1万店を超える予定で、CP ALL社は右肩上がりに成長している。
CP ALL社の中にはセブンイレブンのほかにも11のグループ会社があり、物流会社をはじめ、支払いシステムや什器などの開発・販売・メンテナンスを、国内外のグループ外企業にも展開している。さらに、中卒あるいは高卒の従業員が知識や技術を得られるよう、専門学校と大学をそれぞれ1校ずつ運営、教育事業まで行っていることを知る日本人は多くないはずだ。

CP ALL社が設立した大学を視察

「m-trip」では、CP ALL社が設立した大学「Panyapiwat Institute of Management(PIM)」を視察した。PIMは「職をベースにした教育」 をモットーに、2007年の開校以来、小売をはじめとした経営、ロジスティクス、食品、観光・航空、工学・自動車、マスコミュニケーションなど、ビジネスに直結する教育を行っている。
地方の貧しい家庭の子供が高校卒業後、進学できるチャンスは多くない。PIMでは提携企業の協力を得ることで奨学金制度を充実させており、学生のうちおよそ7割が奨学金を利 用しているという。PIMの学生リクルートチームが各地の高校を回って説明会を実施し、地方の学生も進学しやすい環境を整えている。

reportPIMの外観

前出のマナ氏は、「一般の新入社員が店舗で戦力になるには、1年程度の研修を要する。対して、座学と店舗研修を3ヵ月サイクルで行う小売ビジネス学科の卒業生が新入社員 となれば、1日目から即戦力になれる 」と話し、ほかの学部でも店舗での現場研修を課していると解説。しかし同校の目的はタイ人材の全体的な底上げにあり、他社と協力して奨学金制度を整備しているのもこのためであることを強調、PIM卒業生はもちろん、CP ALL社グループ以外の企業にも就職できると話した。

reportモデル店舗となっているセブンイレブンでの一コマ。 太陽光発電を行うなど、エコを意識した店舗となっている

【取材協力】
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