ArayZオリジナル特集

次代の中核産業人材育成を担う 泰日工業大学

グローバル人材に必須な語学力の強化

TNIではすべての学部で語学・教養課程を設け、倫理学や人文学、社会学、基礎数学・科学に加え、日本語のコミュニケーション力に焦点を当てている。卒業生の語学力は、日系企業と日系企業と取引のあるタイ企業に高い評価を得ているという。また、グローバル時代、AEC発足に向け、英語人材の育成にも注力している。
卒業時の語学力として、経営学部日本語・経営学(BJ)の学生でN3(日常使われる日本語を理解。漢字700字、語彙3500語程度)相当者が60%以上。他学部でも日本語検定N4(基本的な日本語を理解できる。漢字300字、語彙1500語程度習得)相当者60%以上を目標にしている。
また、英語に関してもTOEIC600点以上相当者が全体の60%以上となることも目標にしている。日本語は週2回、3年次の前期までに少なくとも計225時間(BJコースは720時間)の授業に加え、自習時間は授業の倍程度を設定。授業のほかにも、個別指導の日本語チャットルームやボランティアの人たちとの自由会話時間、日本人学生とのサマープログラムでの交流、さらに短期・長期の日本留学(日本の提携校45大学)を奨励し、毎年200人以上の語学留学機会を設けている。

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チャットルームでは日本人との会話練習ができる

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日本語授業の様子

卒業生の半数が日系企業へ就職

TNIには就職先を斡旋する就職部(インターンシップ・就職サポートセンター)があり、就職を希望する学生と人材を募集する企業のマッチングを行っているほか、年1回、約120社が参加するジョブフェア(次回2015年1月に開催予定)を学内で開催している。2013年(第3期)の卒業生655人のうち、就職希望者570人中、561人(98.4%)が就職(2013年11月下旬時点)。なお、卒業生全体の中で、日本留学などを含め進学希望者は59人(9%)、進路未定者26人(4%)であった。日系企業への就職率は50%だが、日系企業と取引のあるタイ企業を合わせると63%となる(図表1)。

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業種は製造業が44%、情報・通信業22%(図表2)。過去3年間(第1期・2011年~第3期・2013年)でも就職希望者の就職率は100%に近い数値となっている。バンディット副学長は「今年度はタイ全体で約40万人が大学を卒業したが、そのうちおよそ12万人がまだ就職をしていません(8月5日取材時)」と話す。タイでは大学を卒業してから就職先を探すという風潮があるが、それにおいてもTNIの就職率は群を抜いている。就職先企業からは「専門・語学・組織対応力など、一般の大学に比して基礎力があり、工場など現場で覚えるのが早い」。「まずやる気(取り組み姿勢・態度)が重要で、これが後の成長の源になる。TNI生はこの面で優れている」などの声があるという。また、国内外の先駆的企業400社と連携し、各専門分野に合致した現場でのインターンシップを実施している。実施している多くの企業は日系企業で、タイでだけでなく、日本での実施もある。TNIでは、産業ニーズに合わせた実践的なカリキュラムを重視しており、その上でのインターンシップによる企業文化(日系企業独自の労働倫理、規律、チームワークから朝礼や朝のラジオ体操といった文化まで)や企業実務体験は、その後の学生の就職観などに大きな影響を与えている。
TNIの卒業生たちが自動車や機械などの分野でタイの産業を牽引し、活躍する日が訪れるのも近いかもしれない。

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機械を使った実務実習も行われている

TNIが目指すタイと日本の未来

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吉原秀男学長顧問(左)とバンディット・ローッアラヤノン副学長(右)

吉原秀男学長顧問
「TNIに入学してくる学生は、アニメやゲームなどから日本に関心を持ち始めたという学生が多く、日本語を独自で勉強したという学生もいます。就職は日系企業へと考えている学生は多いのですが、マッチする企業がなく、日系以外に就職する学生も少なくありません。設立7年を経て、日本語、英語教育を充実させるとともに、2014年から経営学部日本語・人事管理学、大学院では日本語・経営学(MBJ)を新設し、もっと企業ニーズに応える人材を輩出していきたいと考えています。また、現在、講義はタイ語で行っていますが、英語でのコースや社会人教育にも注力していければと思っています。日系企業の方にはインターン受け入れや就職、奨学金基金など、さらなるご協力をお願いします」。

バンディット・ローッアラヤノン副学長
「TNIの目的のひとつに日本からタイへの技術移転があります。現在、約20名ほどの日本人講師が所属していますが、さらにお招きして日本の技術をもっとタイに広げていただければと考えていま    す。TNIでは、学生が日本の企業文化やビジネススタイルへの理解を深められるようカリキュラム設計しています。“報・連・相”や朝礼といったソフト面がタイ産業にも浸透していっていると実感しています。今後は大学として“産業サービス”をどう提供していくかを課題に、そして、ソフト面だけでなく、ハード面の強化、つまりタイで技術開発ができる人材を輩出し、タイ産業のレベルアップさせることを目指しています。ハイテク技術で日本とタイが共存共栄できればいいですね」。

 

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泰日工業大学(TNI)
1771/1Pattanakarn Rd., Suan Luang,
Bangkok 10250
02-763-2600
www.tni.ac.th/web/TNI2012-jp

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