「タイ+1」 在タイ外国人ワーカーの国別分布状況

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GMS(大メコン経済圏)全体で労働賃金が上昇を続けている。
2015年のAEC発足に向けた人材開発という視点から、HUMAN ASIA RECRUITMENTの糸永里美氏がタイにおけるミャンマー、カンボジア、ラオス人材の実情を伝える労働人事コラム。

失業率1%前後の状態が数年続いているタイでは、少子高齢化による労働者人口の減少から、企業の人材確保難は今後も続くことが予想されます。ジョブホッピングによる人材の定着率の低さに悩む企業は多く、一度に数十〜数百人単位のワーカーを確保するのは容易ではありません。
この状況はタイ政府も認識しており、ミャンマー・カンボジア・ラオスからの労働者に対し、2年間の就労ビザ(更新可能、最長4年間)供給を認めています。自国よりも高い賃金で、少しでも多く稼ごうという気概でタイへやってくる労働者は、残業も惜しまず真面目に働くことから、実際にさまざまな産業分野で活躍しています。

労働力不足の歴史が作った外国人コミュニティ

一方で、隣接するこれら3ヵ国から非正規でやってくる労働者も少なくなく、2012年時点で、正規のワークパーミットとビザを取得した外国人就労者数が3ヵ国合わせて約21万人であったのに対し、不法就労状態から追認でタイの就労を許可された外国人労働者は約133万人でした。これは1980年代後半に急増した不法就労者を正規労働者として認める動きが出始めたのが1992〜1996年と遅かったこと、また国境が接しているために正規手続きを取らずとも比較的容易にタイへ入国できてしまうことが背景として挙げられます。
3ヵ国からの外国人ワーカーは自国の国境付近や、未熟練労働者でも就労可能な職種のある地域に居住し、周辺にはその国のコミュニティができています。今回は、これらのワーカーのタイ国内分布状況をご紹介します。

国別ワーカーのタイ国内就労エリア

労働者数でみると、3ヵ国のなかではミャンマーからが圧倒的に多く、国境に近い北部ターク、チェンマイや、南部スラタニーやラノーン、またエビの養殖など水産業の盛んなサムットサコーンや、サービス業の需要が大きいバンコクに多く在住しています。
カンボジア人は、やはり国境に近いチョンブリ、ラヨンや、漁業が盛んな南部ソンクラー、そしてバンコクに多く在住しています。
最後にラオス人はタイ語が理解できる人材が多いため、バンコクのほか、近郊のパトゥムターニーやチョンブリで家政婦をはじめとしたサービス業に就く人が多い傾向にあります。

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タイ国内におけるミャンマー、カンボジア、ラオス人の分布傾向

 

糸永里美 Satomi Itonaga
HUMAN ASIA RECRUITMENT CO., LTD. マネージャー
マレーシアに本社を置く同社タイ法人で、外国人ワーカー派遣・人材紹介を専門に担当。
タイ在住13年。日々、タイ国内の企業や工場を数多く訪問している。

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