レストラン・生活 2019.07月号

タイTM30について(外国人の居住報告)

はじめに

 最近日本人の間で話題に上がることが多いTM30(外国人の居住報告)について、制度概要から実際の実務上のトラブル、今後の対応方法についてまとめたいと思います。報告を行わなかったことでビザの延長が出来ないケースやペナルティが発生するなどのトラブルも発生しているため、ぜひ今後の対応のご参考として頂ければと思います。

TM30(外国人の居住報告)とは?

 入国管理法(1979年)第38条(Section 38 of IMMIGRATION ACT, B.E. 2522)では、外国人の居住報告についての規定がされています。土地の保有者、アパートメント、ホテルその他の住居の保有者は外国人を滞在させる場合に、外国人がタイ国内に入国してから24時間以内にイミグレーション(移民局)又は居住地区にイミグレーションが無い場合には警察署に報告をする義務があるという内容です。

 一方で最近よく話題に上がる内容としては、「外国人はタイに入国してから24時間以内にイミグレーションに報告行う必要がある」という内容かと思います。法令では住居のオーナーが義務を負っている制度となりますので、本来は居住する外国人自身には関係の無い制度にように思われます。ところが、外国人のビザ延長手続きをイミグレ―ションで行う際に、TM30の提出がされていないということをイミグレーションの担当官から指摘されているケースが頻出しています。

トラブル事例と今後の対応方法

 2019年4月以降TM30の手続きが厳格化しています。例えば19年1月に会社を登記し、1月上旬に日本でビジネスビザ(Non-Immigrant B Visa)を取得し、1月下旬にタイに入国しているとします。タイ入国後にはワークパーミット申請とビザ延長申請を行う必要があります。BOIや駐在員事務所ではないバンコクの会社においては、ワークパーミットは労働局で、ビザ延長はイミグレーションでそれぞれ行います。スケジュールとしては2月上旬にワークパーミット申請、4月上旬にビザ延長手続きを行うのが一般的です。

 このようなケースで、4月上旬のビザ延長の際に1月下旬のタイ入国から24時間以内にTM30の提出がされていないと指摘をされ、その場でTM30申請が出来ずにビザが失効してしまうケースやTM30の提出の遅延としてペナルティ8百バーツの支払を求められるケースがみられます。

 当方でビザ延長をサポートしている事例では、TM30の必要書類を揃えてペナルティの支払を行えば、ビザ延長そのものには支障は出ていませんが、事前に必要書類を揃える必要があります。


・TM30申請書
・住居にかかる住所登録証コピー
・住居保有者のIDカードコピー
・住居にかかる契約書(コンドミニアムの契約書等)
・居住する外国人のパスポートコピー(写真、ビザ、入国スタンプのページ)、出国カード(TM6)
・住居保有者以外の方が代理で申請する場合は委任状
※ただし、住居の保有者が本来すべき報告をせずに外国人自身が居住報告を行う場合には、TM30申請書、住居にかかる契約書(コンドミニアムの契約書等)及び居住する外国人のパスポートコピー(写真、ビザ、入国スタンプのページ)、出国カード(TM6)コピーがあれば申請が可能となっています。

 現状ではビザ延長時に直近のタイ入国時のTM30の申請有無について確認はされますが、それ過去の申請実績については問われていません。ただし、今後もビザ延長の直前のタイ入国時のみTM30提出で問題ないか、法令通りタイ入国の都度TM30の提出が必要かどうかは今後の動向を追う必要があるかと思います。

 なお、BOI企業、駐在員事務所、資本金が3千バーツ以上であるなど一定の会社では、ビザ・ワークパーミット申請がBOIのワンストップサービスで行う場合があります。2019年6月現在では、ワンストップサービスでビザ延長を行う場合にはTM30の提出を求められていないようです。また、居住報告は居住する県によっても要否やペナルティが異なるようです。

 また、上述の通りバンコクでは現在はペナルティとして8百バーツの支払を求められているケースが多くなっていますが、入国管理法(1979年)第77条(Section 77 of IMMIGRATION ACT, B.E. 2522)では、第38条に規定に反する場合には2千バーツを超えない範囲のペナルティを課すとの規定がされています。そのため、今後もTM30の手続き厳格化が継続する場合には、ペナルティが増額する可能性も考えられます。また、地域によっては既に8百バーツよりも高い金額を求められているケースもみられるようです。

 法令通り入国の都度24時間以内に報告を行うか、ビザ延長などを行うタイミングのみに報告を行うか、についてはビザ申請をサポートする法務スタッフや法律事務所ともよくご相談頂きご対応頂くことをお勧め致します。


BM Accounting Co., Ltd.
BM Legal Co., Ltd.
President
長澤 直毅
米国 公認会計士(inactive)
社会保険労務士
E-mail: n.nagasawa@bm-ac.com
 
2012年まで社会保険労務士法人の代表社会保険労務士として中国、ベトナム、インドなどアジア各国での就業規則、雇用契約書作成、労務監査を対応。12年よりインドネシア・ジャカルタ駐在、13年にタイ・バンコクに駐在し日系企業の登記、会計、税務、労務を支援。16年にBM Accounting Co., Ltd.及びBM Legal Co., Ltd.を立ち上げ、タイを中心にアジアでの会計・税務・労務その他経営に関する相談対応、記帳・税務申告代行、就業規則・雇用契約書作成などを行う。

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