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ベトナム現地法人の人事制度をローカライズする ②報酬制度の現地化

先月に引き続き「人事制度をローカライズする」というテーマで、今回は報酬制度の現地化の観点をまとめます。人事の基幹制度の中でも報酬制度は「基本的には現地化すべき制度」であり、労働関連法規や雇用慣習、労働市場相場等による制限の中での設計が必要です。

まずは、ネガティブサイドの人事施策(減給、降格、昇給ゼロ、賞与ゼロ)が法令上どこまで合法的に実施できるか、実施可能でも雇用慣習上のインパクトはどうかを確認します。「そのようなケースはほとんどない」=「法律上できない」と誤解し、制度設計自体からネガティブサイドの設定を排除するケースが散見されますので、正確な法令理解が求められます。

次に報酬構成をローカライズします。特に手当や非金銭的な待遇の構成は、各国の事情を色濃く反映しやすいパートです。周辺企業を調査して、導入率の高い手当や待遇の設計漏れがないよう配慮します。設計漏れがあると、社員から他社ではあるのになぜ自社ではないのか?という不満の声があがってきます。

さらに、相場を基にした現地法人の自社賃金水準の方針を決めます。全国的な給与水準のトレンドデータとの比較や、人材需要の高い業界・職種での給与水準を個別具体的にベンチマークします。その際、現金での月収水準に加え、賞与を含めた年収水準、月間平均残業代、労働条件、その他の非金銭的な待遇等も比較し、総報酬水準からの逆算で現金による月収水準を検討しましょう。

最後に、標準的な賞与支給月数や昇給率の動向をベンチマークし、昇給予算や賞与予算をとります。日本では高すぎる昇給率も現地では標準的、日本では低すぎる賞与月数も現地では十分、というのはよくあります。必要以上に支給しすぎても、必要なのに予算を絞りすぎても、現地法人運営が立ちゆきません。相場に馴染む報酬還元水準を維持することが重要です。


ICONIC Co., Ltd.取締役
組織人事コンサルティング部統括部長 賃金管理士
長浜 みぎわ

ICONIC 組織人事コンサルティング部統括部長/取締役/賃金管理士。横浜国立大学卒業後、日本及びフランスの中小企業を対象とする経営コンサルティング企業にて、新規事業の開拓支援を行う。2006年より青年海外協力隊としてウガンダにて民間職業訓練校における人材育成需要及び労働市場で求められる人材需要に関する調査を実施。07年に渡越後、三井住友銀行ホーチミン支店にて法人営業を担当。10年、ICONIC取締役に就任。


(+84)28-3821-5122(ベトナム)
代表:安倉 宏明 ( Yasukura Hiroaki )
設立:2008年5月
本社:10 F Citilight Tower, 45 Vo Thi Sau,Dist 1, Ho Chi Minh, Vietnam

ICONICグループは「人材サービスでグローバル化する社会を豊かにする」というミッションのもと、2008年にベトナムで創業し、現在は5ヵ国7拠点にてグローバル人材事業を展開しております。メイン事業はASEAN各国現地での人材紹介事業と組織人事コンサルティング事業。そして14年よりベトナムを中心に現地人材および、海外で働きたい日本人向けの転職サイト『iconicJob』を、19年に『iconicHRbase』をスタートいたしました。

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