ArayZオリジナル特集

現場力を向上させる グローバル競争を勝ち抜くITソリューション

SPECIAL INTERVIEW

もはや“現地販売・生産拠点”ではない。ASEANの中心国として、タイ拠点が今後直面するであろう課題と対応策とは―。
クニエ社からNTTデータ・タイランドへ出向、タイでコンサルティング・デスク責任者を務める有村大吾郎氏に、タイでのパートナー企業である Netizen社において追加解説を伺った。

arayz oct 2014 tokushu
株式会社クニエ/NTTデータ・タイランド出向
コンサルティング・デスク責任者の有村大吾郎氏

これまでのSCMの話に加え、Q・C・Dの観点でも見てみると、以下のような変化が想定されます。

Q: マネージャクラスや熟練工の移動による技術移管など
C: 隣接国など調達先の拡大や現地調達品目の増加など
D: 輸送手段の多様化やリードタイムの短縮など

これらの想定は皆さん比較的容易に思いつく変化ですが、それが実際に現実となった場合、拠点や国を跨いだ業務の実行に向けて大きな課題が潜んでいます。

【人材側面】
現場業務に詳しい人に複数拠点を見据えた調整能力を付ける
【組織側面】
拠点間の役割定義やKPIなどを新たに整理・整備する
【技術側面】
各拠点に対して現地メンバが技術指導できる能力を付ける
【収益側面】
各拠点のバランスを取った原価管理・売上管理方法を定義する

上記は一部の側面から見た課題ですが、複数拠点を統合して適切にコントロールする際には乗り越えていかなくてはならないものです。いずれも、「人」に関わる要素であると考えて良いでしょう。タイでは日本国内のように人材の定着を図ることは一般的に難しいと言われていますが、これからは上記のような課題を協力して解決して乗り越えていく為に、更に今までよりも優秀な人材をこの地域で必要とする状況になると言えます。
また、いずれの課題にも「正しく情報を把握する」という視点がより一層重要になり、完成品や部材の在庫がいくつあるのか、いつどの程度の生産を行うのか、どの程度の時間をかけて製品が輸送されるのか、などの様々な情報を各拠点を横断的に把握できなければマネージが難しくなります。現在や過去の実績情報の精度が正しくなければ、将来に向け
て情報に基づいた仮説や先読み、そして意思決定が正しく実行できないことになりますし、情報の鮮度が悪ければ、状況把握や対応判断が結果として遅れることに繋がります。
企業がおかれている業界の状況によって、その必要度合いや実現の緊急性は左右されますが、グローバルでのSCMを支えるのはもちろん、先ずはASEAN圏内でのSCMのレベルアップにとって、これからタイは重要な拠点となると見込まれます。
改めての話になりますが、「ヒト・モノ・カネ・情報」というそれぞれの観点について今後は一層の強化が必要とされるのです。

今後ASEANで起きうる状況は上記のように想定できますが、しかしながら、現状の延長線でビジネスを続けているだけでは、今後さらに発展するであろうタイをはじめとするASEAN地域から、その恩恵を最大限に享受することは難しいと言えます。改めて現状の業務プロセスや現行システム等を棚卸して、自社がどのような状態で業務を行っているのかを正しく把握することがいま求められます。拠点だけで考えられる事は限られるので、地域を超えて、本社も巻き込んだ上で、今後の変化に対応すべき策を考え、準備しておくことが重要です。
最後に直近で先ず取り組むべきことを、幾つかに分類して列挙してみます。

<将来の構想整理>
・周辺国との位置付け変更による工場の増設可否・分担範囲の再検討
・社内組織のRole & Responsibilityの定義と実態の把握

<業務の現状把握と精査>
・各業務フロー・承認プロセスなどの確認
・タイ国内に残す設備・生産能力・業務の切り分け(≠集約)
・タイ国内のこれからの需要予測、ニーズの調査と把握
・基本業務のムリ・ムラ・ムダの確認、効率化要素の洗い出し

<人材棚卸>
・組織横断的に連携した仕事を推し進められる人材の育成
・問題意識や改革意識が強い人材の把握と次世代リーダーとしてのノミネート

<IT・情報>
・システム資産を棚卸し、業務視点でのシステム不備の洗出し
・各拠点を連携させることを前提にしたシステムのあるべき姿の検討
・現行システムでの情報精度・鮮度のレベル確認

<生産現場>
・現場でのプロセス改善に加え、自動化設備など最新技術の取り入れ検討
・生産移管や新工場設立を任せられる熟練者の把握と次世代リーダーとしてのノミネート

それぞれの取り組みは、タイ拠点が将来のコントローラーとしての役割を担う上での準備に必須なのはもちろん、元々持っている現場としてのチカラをレベルアップさせることにも繋がるものです。いつ取り組みを始めても早すぎる事は無いですから、自社の状況に合わせて幾つかを選択し検討を開始して頂ければと思います。

株式会社クニエ
〒107-0051
東京都港区元赤坂1-2-7 赤坂Kタワー8F
+81(0)3-5785-2292
www.qunie.com

〈株式会社クニエ・タイ国内代理店〉
Netizen Co., Ltd.
Suite 1403-1404, 14th Fl.,Two Pacific Place, 140
Sukhumvit Rd.,Klongtoey, Klongtoey, Bangkok, 10110
02-653-2388~9
www.netizen.co.th

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