ArayZオリジナル特集

押えておきたい基礎知識&最新ビジネス事情 『1』から分かるミャンマー

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アジアのラストフロンティアとして注目を集めるミャンマーだが、法律の未整備や、不安定な電力やインターネット通信、なかなか進まない鉄道や道路のインフラ整備など、同国への進出には障壁も高さがネックとなっているのも事実。
この現状を打破するかのように7月、日本、タイ、ミャンマーの3ヵ国間で「ダウェー経済特区」の開発協力に関する覚書が締結された。
日本政府は「ミャンマー産業発展ビジョン」、「新東京戦略2015」をまとめるなど、急速に動きが見え始めた〝ミャンマー〞に今、また新たに関心が向けられている。
同国の基礎知識と最新ビジネス情報を、一挙まとめて紹介する

5分でわかる、ミャンマーの略歴

ミャンマーの正式国名はミャンマー連邦共和国(Republic of the Union of Myanmar)(表1)。主要産業は農業で、主な輸出品は天然ガス、豆類、宝石(ひすい)、チーク・木材。主な輸入品は石油、機械部品、パームオイル、織物、金属・工業製品など。
政治においては大統領制、共和制国会を採用しており、2011年から元首を務めるテイン・セイン大統領の任期は5年となっている。議会は上院(民族代表院)と下院(国民代表院)の二院制で、定数664議席。

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テイン・セイン ミャンマー大統領

ミャンマーの略史をたどると、11世紀半ば頃に最初のビルマ族による統一王朝(パガン王朝、1044年〜1287年)が成立。
その後、タウングー王朝やコンバウン王朝などを経て1886年に英領インドに編入、1948年1月4日に独立を果たした。
62年に発足したネ・ウィン政権は、農業を除く主要産業の国有化など社会主義経済政策を推進してきたが、この閉鎖的経済政策などにより外貨準備の枯渇、生産の停滞、対外債務の累積など経済困難が増大し、87年12月には国連より後発開発途上国の認定を受けるに至った。88年9月に国軍がクーデターにより軍事政権が成立し、社会主義政策を放棄することを発表するとともに、外国投資法の制定など経済開放政策を推進したが、非現実的な為替レートや硬直的な経済構造などが発展の障害となり、外貨不足が顕著化した。
90年には総選挙が実施され、アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝したものの、政府は民政移管のためには堅固な憲法が必要であるとして政権移譲を行わなかった。総選挙以降、政府側がアウン・サン・スー・チー氏に自宅軟禁措置を課す一方、同氏は政府を激しく非難するなど、両者の対立が続くこととなる。
2003年5月のアウン・サン・スー・チー氏拘束を受け、米国が対ミャンマー経済制裁法を新たに制定したことが国内産業への打撃となり、経済の鈍化を招いた。加えて04年10月にはEUも同国国営企業への借款禁止などを含む制裁措置の強化を決定した。
10年11月に実施された総選挙で連邦連帯開発党(USDP)が約8割の議席を確保、その直後にアウン・サン・スー・チー氏の自宅軟禁が解除された。翌11年3月に、現テイン・セイン文民政権が発足し民政移管が実現。民主化を推進するとともに、経済改革などの取り組みが行われている。欧米諸国はミャンマーが進めている政治・経済改革を評価し、米国は12年11月に宝石一部品目を除くミャンマー製品の禁輸措置を解除、EUも13年4月に武器禁輸措置を除く対ミャンマー経済制裁を解除した。
今年11月8日には、11年の民政化後以来初となる総選挙が実施予定。最大野党であるNLDも正式に参加表明しているが、現行憲法の規定ではアウン・サン・スー・チー氏に大統領就任の資格はない。

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61年に及ぶ、日本とミャンマーの協力関係

日本のミャンマーに対する経済協力は1954年に始まる。民主化および人権状況の改善を確認しつつ、民衆が直接恩恵を受ける基礎生活分野の案件を中心に、ケース・バイ・ケースで検討、実施してきた。2011年以降は政治犯の釈放やテイン・セイン大統領とアウン・サン・スー・チー氏との直接対話、少数民族武装勢力との停戦などの措置がミャンマー政府によって取られたこと、また、12年4月1日の議会補欠選挙の結果、同氏を含む幅広い関係者の政治参加が実現したことなどを踏まえ、同年4月に経済協力方針を変更している。
新たな経済協力方針の下では、持続的発展に向けて、急速に進む同国の幅広い分野における改革努力を後押ししていくとし、①国民の生活向上のための支援②経済・社会を支える人材の能力向上や制度の整備のための支援③持続的経済成長のために必要なインフラや制度の整備などの支援―を重点分野としている。
日系企業の関心が高い有望な生産拠点、市場として、ミャンマーとの互恵的な経済関係の強化に加え、依然として課題となっているインフラや法制度の整備といった支援に期待がかかる。
※参考:日本国外務省HP「ミャンマー基礎データ」をもとにArayZが編集

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