ArayZオリジナル特集

高まる需要にビジネスチャンス!タイの再生可能エネルギー計画

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温暖化対策への動きはメコンでも

1992年、国際連合の下、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の目標とする「気候変動に関する国際連合枠組条約( United Nations Framework Convention on Climate Change )」(以下、国連気候変動枠組条約)が採択され、地球温暖化対策に世界全体で取り組んでいくことが合意された。同条約に基づき95年から毎年、気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催され、97年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)では、日本のリーダーシップの下、先進国に拘束力のある削減目標(第一約束期間2008年〜12年の5年間で90年に比べて日本▲6%、米国▲7%、EU▲8%など)を明確に規定した「京都議定書」( Kyoto Protocol)の合意に成功し、世界全体が温室効果ガス排出削減に踏み出した。
※参考:環境省HP「気候変動枠組条約・京都議定書と国際交渉」

「第一約束期間、日本は90年比▲6%という目標に対して▲8.4%で達成。第二約束期間の13年〜20年においては鳩山政権時に削減目標値を〝20年に90年比25%削減〞(鳩山イニシアティブ)と掲げました。しかし、温室効果ガス排出削減へ大きな期待を寄せられていた原子力発電が東日本大震災で被害を受けた影響もあり、安倍政権になってゼロベースでの見直しを決定、日本は第二約束期間への不参加を表明しています。その後、当初の鳩山イニシアティブから〝05年比3.8%削減〞するとの修正が発表されましたが、これは90年比でみると3.8%増となります。そして、今年7月、日本政府が国連に提出した「約束草案」では、30年度に13年比26%減(05年度比25.4%減)を削減目標としており、今年12月に予定されている20年以降の世界の温暖化対策の大枠合意における、日本政府の動きが注目されています」。
メコン地域での取り組みをみると、09年11月に第1回「日メコン首脳会議」が開催された際、環境保護と経済成長を両立させるメコンの実現を目標に「緑あふれるメコン(グリーン・メコン)に向けた10年」イニシアティブを開始することが宣言された。同イニシアティブには持続可能な森林経営、災害予防および災害への対処、水資源管理、生物多様性のほか、都市環境の改善として①都市環境インフラ整備②スマートコミュニティー③再生可能エネルギー④バイオマスタウン構想―、温室効果ガスの排出抑制・削減として①日本の低炭素技術の活用②再生可能エネルギー③二国間クレジット制度構築―などが盛り込まれている。

タイ、再生可能エネルギー導入への促進方策

タイでは再生可能エネルギー導入促進のための具体的方策として、07年に再生可能エネルギーの上乗せ価格買取制度(Adder Program )を導入。この制度は民間事業者による再生可能エネルギーで発電された電力を、国営電力会社などが固定の割増分を上乗せした価格で買い取る仕組み。現在は、世界スタンダードとなっている固定価格買取制度(Feed-in Tariff :FIT制度)に移行している。再生可能エネルギーの種類や規模に応じて通常の売電価格に上乗せした価格で買い取る仕組みで、日本でも12年に導入された(表1)。

arayz oct 2015

BOI(タイ国投資委員会)が定める奨励業種の中にも再生可能エネルギーに関連する項目が盛り込まれており、AEDP2015からも再生可能エネルギーの利用促進に注力していくことがうかがえる。今やビジネスと環境は切っても切れない関係にあり、環境問題に対する技術を多く持つ日系企業の参入チャンスが見込める分野でもある。

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技術士(衛生工学部門)
大寺 泰輔

株式会社エイト日本技術開発
バンコク駐在員事務所
Eight-Japan Engineering Consultants Inc.
Bangkok Representative Office
B.B. Building, 15th Floor, Room 1515,
54 Sukhumvit 21 Road (Asoke), Klong toey Nua,
Wattana, Bangkok 10110 Thailand
TEL : 02-664-4144, 4146
E-mail : oodera-ta@ej-hds.co.jp

 

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