2016.11月号

ArayZオリジナル特集

Q&Aと実務解説 タイ・ビジネス関連法務

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artayz tokushu

タイで企業活動を行うためには、現地のビジネス関連法務を遵守しなければならない。日々の運営に関わる法務、民商法典、企業法、労働法務、企業の拡大・撤退から訴訟まで、ビジネス全般に関係する法律の基礎ポイントを、アンダーソン・毛利・友常法律事務所バンコクオフィス代表の安西明毅弁護士(日本法)にQ&A形式で解説してもらった。

タイのビジネス関連法体系とは

タイの法体系の位置付けは大陸法系で、日本の法律に類似するものも多い。しかし、タイ証券取引委員会などが規制するM&A法制はコモン・ロー系のイギリス法に近いと言われている。

タイにおけるビジネス展開で関わってくる分野としては、タイ投資委員会(BOI)関連法、輸出入関連、商法・企業法関連、外国人法関連、労務・税務関連、憲法、その他政策など。主な法律としては、民商法典、外国人事業法、投資奨励法、工場法、土地法、工業団地公団法、労働者保護法、労働関係法、外国人就労法労災補償基金法、労働者技能開発促進法、労働の安全衛生及び環境に関する法律、移民法、社会保障法、関税法、歳入法典、為替管理法、会計法、製造物責任法、商標法―がある。

タイで事業活動を行う法人は、民商法典の規定に従って活動しなければならないと定められており、タイ国外の企業がタイで事業を始める場合には、外国人事業法の規制において問題がないかどうか確認する必要がある。

タイへの新規進出形態には、新会社、支店、駐在員事務所の3種類がある。新会社は本格的に業務を営むにあたり、最も一般的な進出形態だ。営業活動が可能であり、さまざまな恩典を享受することができるが、撤退が困難というデメリットもある。外国法人が特定の営利活動を行うために設置する視点は営業活動が可能であるものの、責任は本社が持ち、外国人事業法上のライセンスも必要になる(許可される場合は限定的)。
また、本社のコントロールが及ぶため、活動範囲にも制限がある。外国法人がタイにおける情報収集などを目的として設置する駐在員事務所は、営業活動が不可能。外国人事業法上のライセンスは必要で、本社のコントロールが及ぶ。

また、既存の現地会社を利用した進出形態としてM&Aがあり、その方法として株式譲渡、新株発行、合併、資産譲渡がある。
詳しくは以下からの安西弁護士解説を参照。

 

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M&A編

Q1 タイ企業の買収やタイ企業への出資を考えています。どのような方法があり、どのような点に注 意する必要があるでしょうか。

A1
タイ法の下で、タイ企業の買収やタイ企業への出資するにあたっては、以下のような方法が考えられます。

【1】株式の取得
一番シンプルな方法として、対象会社の既存株主から対象会社の株式を取得することが考えられます。既存株主が保有する対象会社の株式を全部取得することは、いわゆる買収と言われるものとなります。
タイ法の下で株式取得をするためには、対象となる株式の譲渡人と譲受人の間において、1名以上の証人が署名をした株式譲渡証書を作成する必要があり、株式譲渡証書には、株式譲渡の当事者名、株式数、株式番号及び株式譲渡価格を記載する必要があります。もっとも、実務上は、株式譲渡に伴うその他の事項(株式譲渡の前提となる事項、株式が適法に発行されており、担保に供されていないこと等に関する表明保証、解除時の効果等)を定めた詳細な株式譲渡契約書を、株式譲渡証書とは別に作成することが一般的です。
なお、株式譲渡の問題点は、対象会社の株式の譲渡対価は売主に支払われ、会社に支払われるものではありません。したがって、会社に対しても資金注入をする必要があるのであれば、株式譲渡の対価に加え、会社に対する資金も用意する必要があります。

【2】新株の引受
対象会社の既存株主から株式を取得しなくとも、対象会社の新株を引き受ければ 対象会社に出資をすることができ、対象会社の経営に参画できます。もっとも、タイ法の下では、非公開会社の新株引受権は既存株主にのみに認められていますので、これまで全く資本関係のなかった対象会社へ出資をしたいと考える場合には、まずは事前に既存株主から対象会社の株式を1株以上譲り受け、対象会社の株主となることが必要です。そして、その後新株発行の手続きを執ることになります。
新株引受のためには、対象会社の株主総会において、新株の発行が承認されることが必要となります。この承認には、特別決議(75%以上の賛成が必要)が必要になります。その後、各株主が新株の申込をしなければなりませんが、その際、当初の株主構成を維持するのであれば、既存株主の申込も受け付ける必要がありますし、あくまでも新たな株主の参入が優先であり、他の既存株主が特に追加出資するのでないのであれば、既存株主は申込をする必要はありません。

【3】タイへの送金
株主として出資額に相当する金額をタイに送金することについては、特に制限はありません。

送金編

Q2
タイの現地法人から日本の親会社へ送金をしたいと考えていますが、何か規制はあるでしょうか。

A2
タイ法人に留保されている現金を日本の親会社へ還流させるためには、ロイヤルティーや業務委託料、配当金としての送金することが考えられます。このような場合、タイから日本へ送金することにつき原則として自由に行うことが可能であり、タイ中央銀行の承認も不要となります。しかし、5万ドル相当金額以上の場合、外国為替取引を認可された者への為替取引書の提出が必要となります。また、送金を担当する銀行からは、送金の理由等を示した書類の提出を求められることになります。
また、タイ国会社への配当送金については10%、業務委託料やロイヤリティーの支払いについては15%のタイにおける源泉徴収税が課されます。

次ページ:事業縮小編 Q3

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