2014.11月号

【連載】藪本 雄登氏がアドバイス! 新興メコンの最新法務事情 Vol.3

jbl mekong

◆カンボジア編 カンボジアの労働仲裁事例

2012年235号裁定・事案概要
縫製工場を運営するA社は労働者のうち80%と有期労働契約を結んでおり、その多くは6ヵ月間の契約を締結していました。A社は契約満了後、通例として、労働者に給与の支払われない2日間の休暇を取るように求め、この休暇後に新たな契約を締結。A社は契約満了時、労働者に対し、未払賃金、未使用の年次有給休暇の償還金、契約期間中に支払われた総賃金の5%に相当する退職金を支払っていました。上記の事情の下、労働組合はA社に対し、年功手当を支払うよう求めたものです。

2012年11月20日、コンポンチャム州労働紛争局はカンボジア労働組合連盟から訴えを受理し26日、労働紛争局の調停員が雇用者と労働者の両者を招き、調停を行いましたが、完全に和解に至らず12月4日、労働仲裁委員会の事務局に付託されました。

【判決内容】 A社は労働者に対して2日間の休暇を取らせることを中止し、有期労働契約を結び1年以上働いた労働者に対して年功手当を支給しなければならない、という判断を下しました。

論点としては、A社と労働者の間で「勤続年数」という文言の解釈の対立があることが挙げられますが、05年の裁定は勤続年数を「勤続年数とは、労働者により供給された役務の長さに基づき、労働者に権利や特典を加える、連続した役務提供の期間のことである。勤続年数が途切れるのは、労働者が企業のための役務提供を終了した時のみである」と定義しています。

【理由】 労働仲介委員会は、2日間の休暇につき、「2日間の休暇」措置はA社において慣習的、一般的であり、A社特有のものであり、労働者としては、有期労働契約は更新されるものと予期していることから、A社が労働者に2日間の休暇を取らせることによって、A社と当該労働者との間においては、労働契約を更新する旨の黙示の合意が成立していると判断し、そして、企業が労働者に期間満了後、同休暇を取らせたとしても、当該労働者契約の終了には相当せず、勤続年数は途切れることはないと判断しました。
労働仲裁委員会は、同休暇は新たな契約を結ぶ前に常に2日間の休暇が取られてきたという習慣的であり、有期労働契約を結ぶ全ての労働者に当てはまるという点で一般的であり、休暇の期間が常に2日間であるという点で企業特有なものであると理由付けてA社の主張を退けました。さらに、労働仲裁委員会は同休暇はA社の再雇用の意図を示している一方で、労働者に労働法を定められた基本的な権利を認めないことによって、法定の義務を回避する意図があったと判断し、義務を回避しようとするA社の意図は信義則に原則に反していると判断しています。

◆ラオス編 ラオスの外国為替管理制度、出入金規制

ラオスの外国為替管理制度に関する法律は2008年外国為替・貴金属管理に関する大統領令(以下、外国為替例)が存在しています。同法によれば、中央銀行が提案して政府が承認した場合を除いて、ラオス国内での財およびサービスの取引、債務支払いなどに外国通貨を用いることを禁じています(第3条)。
外国為替の購入は商業銀行あるいは中央銀行が認めた外国為替両替所において行うことが可能です。ラオスでは、企業の資金調達に関する規制はほとんどなく、地場銀行ないしは
外資系銀行からの現地通貨建て借入れ、外貨通貨建て(バーツおよびドル)借入れが可能となっています。
外貨口座であっても現金での引出やほかの口座への送金が可能ではありますが、引出金額が2万ドルを越える場合は、事前に当該銀行に通知する必要があります。
海外からの資金調達は海外金融機関からの借入れが認められています(第20条)。借入れに際しては、ラオス中央銀行の許可を得る必要があり、ローン契約書、送金許可書などを提示する必要があります(詳細は同法20条に記載)。なお、入金に際しては、中央銀行発行のCapital Importation Certificateを取得する必要があります。
外国投資家は利益、配当、資本金、利子などを母国あるいは第三国に送金することが実務的には認められています。外国為替令では、商業銀行に対して提出すべき必要書類を規定しており(第23条)、最終的には中央銀行の承認を得る必要があると理解しています。

 

Yabumoto
JBL Mekong代表・藪本 雄登
カンボジアで数年間の実務経験を有し、ラオス提携事務所を往復しながら、新興メコン法務全般に従事。新興メコン地域の法務に関する知識と実務経験をもとに、メコン地域への進出戦略の策定、進出時のリーガルフォロー、紛争発生時の対応などを執り行う。
【主な著書・執筆実績】
『カンボジアで事業を興す』(キョーハンブックス、2014年6月)
『カンボジア進出・展開・撤退の実務』(同文舘出版、2014年4月)
『カンボジア会社設立マニュアル』(日系公的機関より受託)
『カンボジア労務マニュアル 第2改訂版』(日系公的機関より受託)
『ラオス労働法』(日系公的機関より受託)

JBL Mekong
2F(受付), 5F, Phnom Penh Tower, #445, Monivong Blvd (St. 93/232),
Sangkat Boeung Pralit, Khan 7 Makara, Phnom Penh, Cambodia
Tel : +855(0)23-640-5621
info@jblmekong.com
www.jblcambodia.com

gototop