【連載】藪本 雄登氏がアドバイス!新興メコンの最新法務事情 Vol.1

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◆カンボジア編 集団労働争議

自由貿易組合(FTU)が発表したデータによると、2012年にカンボジア国内で発生した集団労働争議件数はわずか101件だったのに対し、2013年には381件にまで増加していると報告されています。今回は近年、急増しているカンボジアンでの労働争議について解説します。
労働争議やストライキなどを行う権利は、カンボジア憲法および労働法によって保障されています。法律上、労働争議は雇用者と労働者(組合)との間で平和的な解決手段が出し尽くされたあと、実施することができ(労働法320条)、手続きとして、対象企業や労働省に事前通告をする必要があります(同324条)。また、ストライキは暴力的な内容を含まないものに限るとされ、これらを守らない場合は、裁判所により不正と判断され、その先刻から48時間市内に労働者は仕事に戻らなければなりません(同330条、337条)。
雇用者は労働争議への参加理由に、労働者を一方的に解雇することはできません(同333条)。ただし、労働争議の期間中、雇用者は労働者に対し、その間の給与は支払う必要はないと規定されています(同332条)。
集団労働争議は、交渉、和解もしくは調停により解決されなければならないと規定されています。労働争議が和解や調停により解決できない場合、労働争議の当事者は、労働裁判所に対して法的手段を取ることが可能であるとされています。
しなしながら、現在のカンボジアには労働裁判所は存在しておらず、一般の裁判所がその役割を担っています。

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◆ラオス編 進出形態の概要

ラオス改正外国投資法とラオス企業法による進出方法があります。改正外国投資奨励法(2004年)第5条においては、①契約に基づく業務提携、②合弁企業、および③100%外国投資企業の3類型が規定されています。
投資可能分野については、発展段階の低い地域に対し、より高い奨励措置を与えるよう設計されています。もっとも低い発展地域に対しては最大7年間の法人税免除があります。
ラオス企業法は企業の形態や登録方法、管理、運営、解散などについて規定しています。進出形態としては、①駐在員事務所、②支店、③合名会社、④有限会社、⑤一人有限会社、⑥公開会社が存在しています。会社設立については①商号の確定、②(有限会社の場合)会社定款の確定、③資本金の払い込み、④申請書面の提出が必要となります。

<注記>
当コラムは裁判所、関連省庁、弁護士事務所のこれまでの見解、回答および公示等に基づくもので、こうした見解はは予告なく変更される場合があります。また、法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については、個別の状況に応じて、現地専門家もしくは現地法弁護士の適切な助言を得る必要があります。

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JBL Mekong代表・藪本 雄登
カンボジアで数年間の実務経験を有し、ラオス提携事務所を往復しながら、新興メコン法務全般に従事。新興メコン地域の法務に関する知識と実務経験をもとに、メコン地域への進出戦略の策定、進出時のリーガルフォロー、紛争発生時の対応などを執り行う。
【主な著書・執筆実績】
『カンボジアで事業を興す』(キョーハンブックス、2014年6月)
『カンボジア進出・展開・撤退の実務』(同文舘出版、2014年4月)
『カンボジア会社設立マニュアル』(日系公的機関より受託)
『カンボジア労務マニュアル 第2改訂版』(日系公的機関より受託)
『ラオス労働法』(日系公的機関より受託)

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