新型肺炎の日系企業影響調査実施、マイナスの影響が半数以上

ジェトロ・バンコク事務所竹谷厚所長

バンコク日本人商工会議所とジェトロ・バンコク事務所は、中国などで広がる新型肺炎の影響に関する緊急アンケートをバンコク日本人商工会議所理事企業を対象に行い、2月14日、結果を公表した。回答企業は40社で、内訳は製造業が21社、非製造業が19社。海外の日本企業における初めての新型肺炎の影響調査となった。

業績への影響の見込みについては「多少のマイナスの影響がある」が20社、50%(製造業11社、非製造業9社)に上った。「大きな(経常収支5%以上程度)マイナスの影響がある」の4社(製造業3社、非製造業1社)、10%と合わせると、半数以上の企業がマイナスの影響を見込んでいることになった。

「新型肺炎のマイナスの影響」(複数回答可)に関しては、「世界経済の減速による販売数量の減少」が60%で大きく、「中国からの部品、原料、中間材、製品等の調達が遅延、困難になる」が55%、さらに「中国へ輸出する部品、原料、中間財等の数量の減少」が25%、「タイへの中国人観光客減少による消費減速」が25%で続いた。

特に製造業では「中国からの部品、原料、中間材、製品等の調達が遅延、困難になる」が81%と高い数値を示した。ジェトロが昨年発表した「2019年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」によると、原材料・部品の調達先の内訳でタイの日系企業は現地調達率が60%を超え、中国からの調達が5.2%だった。中国では感染拡大が続く中、一部で春節明けの工場稼働を遅らせる動きがある。複雑につながるサプライチェーンにおいて、タイにも影響を及ぼす可能性が高くなった。

社員の中国(既に制限が厳しい武漢、湖南省除く)への渡航については「全面的に禁止している」が22社、「緊急の要件など条件を付けて認めている」が17社にぼった。「その他」とした1社も商用渡航は禁止、私的旅行も再考を指示していると答えたという。日本からタイへの出張については34社が特に制限を設けておらず、5社が条件付きで認めていると回答した。

バンコク日本人商工会議所経済調査会の竹谷厚会長(ジェトロ・バンコク事務所所長)は、「今の時点で、大きなマイナスと答えている比率はそれほど大きいわけではない。ただ、長期化すれば影響は拡大する。早い鎮静化を望んでいる」と話した。

 

 

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