大きな産業が気候変動の主な要因の一つとなっていることは否定できません。地球温暖化防止には、エコ工業都市の早期実現が鍵となります。
そのためには、産業廃棄物の再資源化など、業界全体が共同で資源を管理または最適化できるよう目標を設定する必要があります。これにより、経済・社会・環境の3つの側面のバランスがとれ、持続可能な開発につながります。
地球温暖化による気候変動が問題となっている今、工業セクターは、特に国や世界が目標に定めた温室効果ガスの削減に向け、環境マネジメントシステムの構築に注力しなければなりません。
タイ工業団地公社(IEAT)はエコ工業都市開発の「経済、社会、地域の共存」という理念に基づき、全ての工場の産業廃棄物削減と同時に、資源の有効活用に向けた生産工程の効率化に取り組んでいます。
3R(リデュース、リユース、リサイクル)に取り組むことで、エコ工業都市開発を推進し、2025年までに39の工業団地がエコ工業団地として認定されることを目指しています。
エコ工業都市の実現に向け、IEATは次の3つの項目で管轄下の工業団地および工業港の監督を行っています。
IEATはエコ工業団地基準として、5つの分野、22の領域で指標を設定しています。
エコ工業都市構想のマスタープランには、ワールドクラス、エクセレンス、チャンピオンという3つのレベルが設定されており、ワールドクラスに認定された工業団地は、良好なガバナンスと官民協働により引き続きエクセレンス、チャンピオンへとレベルアップが求められます。
IEATは、エコ工業都市にとどまらず、工業団地を「スマートエコ」に進化させるためのガイドラインを策定し、管轄下の工業団地や工業港にイノベーションと先進テクノロジーの導入を奨励しています。
スマートエコとして認定される工業団地は、前提条件として、チャンピオンのエコレベル認定が必要です。そして工業団地内の工場は、環境、エネルギー、安全基準のうち少なくとも一つに沿って運営されている必要があります。
スマートエコ工業団地(Smart Eco 4.0)の認定基準および2021年度に認定された工業団地/工場は以下の通りです。
工業団地、工業港およびすべての工場が必須
工業団地4ヵ所、工場1ヵ所
工業団地2ヵ所、工場4ヵ所
工業団地1ヵ所
工業団地2ヵ所、工場5ヵ所
工場1ヵ所
工場1ヵ所
工場5ヵ所
環境効率とは、持続可能な発展のための世界経済人会議(WBCSD)によって提唱されたEcology(環境)、Economy(経済)、Efficiency(効率)からなる用語で、「環境影響を最小化しつつ価値を最大化する」考え方を指標化したものです。
IEATは2019年より、ISO14045規格に沿って環境効率を評価指標として取り入れています。また、同年より国営企業政策事務局(SEPO)がIEATの業績評価を行っています。
IEATは、2021年から2025年までの5年間で全工業団地の温室効果ガス排出量を250万kg-CO2(年間約50万kg-CO2)削減するという目標を設定しています。 2020年の削減実績は120万kg-CO2で、現在、各工業団地の温室効果ガス削減実績は設定した目標に近づいています。
しかしながら、エコ工業団地化には多額のマネジメントコストがかかるという問題点があります。炭素クレジットの販売で発生した純利益に対する企業への免税措置など、政府による追加の支援措置が必要になると考えられます。
他国の例を見ると、日本は厳しい環境規制の下で工業都市が管理されており、環境管理を徹底した民間企業には恩典を与えています。具体的な事例としては、北九州工業団地で温室効果ガスの排出量を年間約3億8,000万kg-CO2削減しています。
上記の通り、IEATは各企業が環境マネジメントの重要性を認識し、地球温暖化防止に共同して取り組むことを推進しています。
(タイ語、 英語)
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