「キャリアブレイク」について考える 日本国大使館・日本人会がセミナー共催

在タイ日本国大使館とタイ国日本人会は12月20日、同大使館多目的ホールでセミナー「キャリアブレイクについて考える~人生100年時代のライフキャリア」を共催した。講師に、キャリア開発サポーターズ代表取締役・日本キャリア開発研究センター認定キャリア開発カウンセラー・理事の浅野衣子氏を迎え、配偶者の駐在同行などでタイに転居した約50人の参加者に今後の働き方・生き方を考えるきっかけをもたらした。

キャリアブレイクとは、長期休暇制度が広く発展した欧州の仕組み。 日本では結婚や出産、育児などのよる離職期間(キャリアの中断)を肯定的に捉えるというもので、数年の「ブレイク(休憩)」後に復職を促す企業も増えつつある。

ただ、「今後のキャリアを考えると不安」や「タイで働きたいけれども働けない」などと、悩んでいる日本人女性は少なくない。浅野氏は、キャリアブレイク中に「世界を見る」「新しいスキルを学ぶ」「人生を再確認する」といった10の好機を挙げ、「心身ともに健康で元気であれば何歳になっても成長・発展は可能」と参加者にエールを送った。

一般的にキャリアは職業経歴を指すが、「仕事と余暇、社会活動、学習、趣味、家族との関わりなどを含んだ個人の生涯に渡る生き方」と定義。そして人生を大きく左右する偶然の出来事を、交流範囲の拡大などの行動を通じて上手に活用すると、予期せぬキャリア機会が舞い込んでくると助言した。

また、浅野氏は将来のなりたい姿、ありたい姿を描き、新たなことに挑戦する「好奇心」、失敗してもあきらめない「持続性」、行動や思考を狭めない「柔軟性」、失敗や困難をプラスに捉える「楽観性」、リスクを恐れずに行動する「冒険心」――を行動指針として挙げた。

労働市場では、自分の考えを発信し、他人の話を傾聴できるコミュニケ―ション能力に優れ、向上心を持ち、挑戦する意欲の高い人材が求められており、タイで自己理解(興味・能力・価値観)を深めて、生涯にわたるキャリアを形成してほしいと締めくくった。

大学一年の時に初めてタイを訪れたというタイ国日本人会の熊本奈々子事務局長は、これまで2回のキャリアブレイクを経験。紆余曲折はあったが、充実した生活を送っていると付け加えた。

参加者の一人は、「数ヵ月前まで日本で働いていました。夫の赴任期間が3~5年の予定で、その間に自分は何をしたらよいのかと、悩んでいました」と心の内を明かした。もう一人の女性は「夫が3月に帰任する予定。子育てで長いブランクがあるため、社会復帰に不安ですが、帰国後に仕事はしたいです。今回は自分を見つめなおす良い機会になりました」と、現状に甘んじない意識の高さが伺えた。

 

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