中小企業社長兼経営コンサルによる、現場発-経営論

第7回 今後はどのように会社経営にあたっていけば良いでしょうか

中小企業社長兼経営コンサルによる現場発経営論

Q:タイの新型コロナウイルス感染は収束に向かいつつありますが、今後はどのように会社経営にあたっていけば良いでしょうか。

A:そもそも今回のコロナ禍がタイ経済に与えた影響はどれくらいなのか、という点を国内総生産(GDP)成長率を指標に見た場合、「過去30年で最悪」という状況です(※1)。ですので、現状については腹を括って臨み、資金繰りを含めた会社を潰さないための方策にしっかり取り組んだ上で、今後の経営はどうあるべきかについて考えるフェーズに来ている気がします。

この問題はすごく深いテーマであり、私自身が自社を経営する上で考えなければいけないことでもあります。様々な考察をしている中で、次の2点が重要ではないかと思います。

※1 2020年のGDP成長率予測はー3.0~ー5.0%。過去30年に同水準にあったのはアジア通貨危機(1997年ー2.8%、98年ー7.6%)のみ。

1 外部環境 さらに進む社会のオンライン化

従業員のテレワーク、社内外とのウェブミーティング、知人との食事など、かつてオフラインでやることが当たり前だったもので、このコロナ禍を経てオンラインで行われるようになったことがたくさんあります。オンラインで実施することによる時間的・金銭的コストの小ささに皆が気付いてしまった以上、この流れはおそらく止まらないだろうと思います。

2 内部環境 社会の動きが自社にとって何を意味するか

オンライン化が進むことを理解した上で、やみくもに「我が社もオンライン化だ」となるのではなく、その中で腰を据えてこれからの自社のあるべき振る舞いを考え、実行していくことが大事だと思います。

例えば、テレワークは通勤時間の削減や、柔軟な勤務時間の設定が可能になり、ひいては従業員にフレキシブルな勤務形態を提供できるメリットがあります。同時に、コミュニケーションや成果の評価が難しいといったデメリットも指摘されています。

オフィスでの勤務を前提に最適化されていた会社が、すぐさまテレワークに移行することが有効なのかという問いは、外部環境のオンライン化が進行するということとは独立して検討されるべきでしょう。

冒頭で記載した通り、私たちはこの30年で最も特異な状況に置かれています。その事実と環境の変化を踏まえつつ、できることを積み重ねていくのが肝要であり、経営する側はその舵取りを間違えないことが重要だと感じています。こういったときこそ焦らず、頑張って参りましょう。

寄稿者プロフィール
  • 倉地 準之輔 プロフィール写真
  • 倉地 準之輔

    日本で大手監査法人、外資系企業勤務を経て、2013年来タイ。外資系会計事務所のジャパンデスクにて日系企業向けコンサルティング業務に従事した後、15年10月にBizWings (Thailand) Co., Ltd.を設立。経営コンサルティング業務を提供し、現在に至る。公益財団法人東京都中小企業振興公社タイ事務所経営相談員。ジェトロ中小企業海外展開現地支援プラットフォーム・コーディネーター。公認会計士(日本)。東京大学経済学部経営学科、米ケロッグ経営大学院卒業(MBA)。

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