中小企業社長兼経営コンサルによる、現場発-経営論

第21回 コロナ禍においての管理業務の変化

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Q:管理業務においてコロナ禍でどんな変化が起きているのでしょうか。

A:間違いなく「オンライン化が進んでいる」ことです。皆さんも日常の業務で、否応なくこの流れを感じているかと思います。

今回は、私が日々管理業務に関するコンサルティングをしている中で、オンライン化で見受けられる3つの影響についてヒト・モノ・カネの観点から解説します。

【ヒト】業務属人化の問題がより顕著に

経営相談の中で「会計担当者が新型コロナウイルスに罹患して業務が回らなくなった」「リモートワークになって業務が停滞しがちになった」という話をしばしば伺います。

どのケースにも共通しているのは、業務の属人化です。その人からのアウトプットがない場合、業務全体がストップするにも関わらず、周りはその人が何をしているのか知らない、という構造です。

この構造自体はコロナ前からよく聞く話でした。退職や独善化というリスクがありながらも、これまでは何とか回っていたのかもしれません。他方、コロナによる病欠リスクや、リモートワークによりコミュニケーションが取りづらくなったことが加わり、業務属人化のリスクがより顕在化してきた印象を受けます。

【モノ】紙ではなくデータで

今まで紙伝票で処理していた会計用の書類や残業申請、休暇申請といった書類を、デジタル化できないかという相談をお受けします。

もう少し広い視点で見ると、従業員全員が出勤することを前提にして作られていた業務フローが、リモートワークの導入後に実施困難になったため、この際業務の仕組みそのものを変えて効率化したいという流れがあるようです。

【カネ】現金・小切手ではなくオンラインで

元々、タイの社会保険料や税金といった支払は、ほぼすべてオンラインでの支払が可能でした。何か理由がない限り、現金・小切手による支払を行う必要はありませんでした。

コロナ禍でリモートワークが進み、支払元・支払先も会社に出社しなくなったため、従業員が会社で現金・小切手を受け取って支払に行く、というビジネス上の行為がそもそも減少していると思われます。

結果として現金・小切手は一切使わず、全て支払はオンラインで済ませるという会社様も見られるようになりました。現金・小切手に関する不正のリスクもなくなるので、内部統制上も興味深い流れだと感じています。

弊社でも管理業務のオンライン化の流れに対応すべく、オンラインアシスタントサービスを提供しているのですが、管理業務についてはかなりの業務がオンライン化可能であり、さらに結果として業務効率が良くなることが多いことに驚いています。

コロナ禍が収束したとしても、オンライン化が止まることはないと思います。

今は業務のオンライン化がどこまで可能かを考える絶好の機会かもしれません。

寄稿者プロフィール
  • 倉地 準之輔 プロフィール写真
  • 倉地 準之輔

    日本で大手監査法人、外資系企業勤務を経て、2013年来タイ。外資系会計事務所のジャパンデスクにて日系企業向けコンサルティング業務に従事した後、15年10月にBizWings (Thailand) Co., Ltd.を設立。経営コンサルティング業務を提供し、現在に至る。公益財団法人東京都中小企業振興公社タイ事務所経営相談員。ジェトロ中小企業海外展開現地支援プラットフォーム・コーディネーター。公認会計士(日本)。東京大学経済学部経営学科、米ケロッグ経営大学院卒業(MBA)。

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