中小企業社長兼経営コンサルによる、現場発-経営論

第24回 新年のご挨拶

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皆様、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
今回はQ&Aスタイルをお休みし、思うところを書いてみたいと思います。
私の寄稿が始まったのは2020年1月号からですので、その間ほぼコロナ禍にあることになります。「中小企業社長兼経営コンサルタント」という立場で書いていますが、私自身コロナ禍で事業上悩むことも非常に多く、難しい2年間でした。しかも、21年の年末にかけて新たな変異株が検出され、先行きも不透明であることを認めざるを得ない状況です。
日々、「我々は、いかに教養を積み知識を積んでも、それによって人生に安定や安心が得られるとは限らない※1」という言葉を痛感させられています。
(※1) 三島由紀夫『若きサムライのために』文藝春秋、1996年
大学生の時に会計士の資格を取得し、MBA留学も経験、自分で会社を立ち上げたこともあり、会計や経営に関する知識(教養を積んだ、というのはおこがましくて言えません)は多少積んでいると不遜にも思っていたのですが、まさにこの言葉の通り、学んだことが役に立たないという状況に悩む毎日です。
そんな中、お笑い芸人の方が、将来への不安が増した時への打開策は二つしかないと仰っていました。『とりあえず目の前のやることを一生懸命やる、ということと、あとは気にしないこと(笑)。だってこれしかないですから※2』。これを読んで、こういった対処法が一番良いのかもしれないと思うようになりました。
(※2) 田中俊之/山田ルイ53世『中年男ルネッサンス』イースト・プレス、2018年
一つ目については、私が尊敬する在タイ日本人経営者の方も「計画しすぎることより間違いなくできることを少しでもやることが大事」という趣旨のことを従前から仰っており、なるほど、と思っていました。また、二つ目については、なんとタイ人のマイペンライ(気にしない、大丈夫、問題ではないといった意)を採用することが該当するのではないかと思うに至りました。
日本人がタイでビジネスをする際、時にタイ人の発するマイペンライは困惑の元になります。期限に間に合わなくても、計画通りに進まなくてもマイペンライ。
私自身、どこがマイペンライなのか、と思うことも多々ありました。
ただ、もしここでタイ人のマイペンライを、とりあえず目の前のやることを一生懸命やった上で採用するのであれば、これはとても優れた問題への対処法になるのではないでしょうか。
特に先行きが不透明な中、いたずらに計画を立ててその通りに行かないことにイライラし、悩むよりも、まずは一生懸命やってみる、あとは気にしない、という態度はある意味合理的とすら言えるのではないかと思います。
かように悩みの絶えない私ですが、元々このコラムは私が中小企業社長兼経営コンサルタントとして必死にもがいている中で思ったこと、理論でも経験論でもない、中途半端であったとしてもひたすらリアルな言葉を発信する目的で始めたことを思い出しました。
今年が皆様にとり良い年になることを願いつつ、本稿では少しでも皆様のお役に立つ記事を発信できるよう努めます。引き続きよろしくお願いいたします。

弊社では、タイ会計基準の日本語訳を出版し、解説のための寄稿やセミナーの実施を行っています。また、いくつかタイ会計基準の日本語解説資料も存在します。
寄稿者プロフィール
  • 倉地 準之輔 プロフィール写真
  • 倉地 準之輔

    日本で大手監査法人、外資系企業勤務を経て、2013年来タイ。外資系会計事務所のジャパンデスクにて日系企業向けコンサルティング業務に従事した後、15年10月にBizWings (Thailand) Co., Ltd.を設立。経営コンサルティング業務を提供し、現在に至る。公益財団法人東京都中小企業振興公社タイ事務所経営相談員。ジェトロ中小企業海外展開現地支援プラットフォーム・コーディネーター。公認会計士(日本)。東京大学経済学部経営学科、米ケロッグ経営大学院卒業(MBA)。

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