バンコク不動産投資

元外資系投資銀行アセットマネジャーが分析する! バンコク不動産投資最新動向

第12回 どんな日本人達がバンコクのコンドミニアムを買っているのか

3月16日、5回目のバンコク不動産セミナーツアーを終えた。今回は博多に始まり、大阪、名古屋、東京(2日間)、群馬と北上し、計6日間のセミナーで約100名の参加者があった。毎回5ヵ所程度、セミナーを開催しており、昨年7月に始めたこのセミナーも今回までで計25回程開いたことになる。

セミナーという形式を取ってはいるものの、実際は特定の物件を売るための販売キャンペーン的なものが多い中、筆者のセミナーは投資コンサルタントとしてのそれであり、バンコク不動産市場の動向、特性や構造についてできるだけ有益な最新情報を毎回レポートしてきたつもりだ。従って、毎回のように参加してくれたリピーターも多かったのだが、このセミナーツアーも今回で一区切りつけることにした。

さて、このセミナーにかつてGEリアル・エステートで働いていた時の元同僚が聴きに来てくれたことがある。彼は今、某不動産会社で海外事業部門のトップになっていて、主にハワイの不動産を扱っている。そして、彼のところもよくセミナーを開くが、ハワイのセミナーは参加希望者が多く収拾がつかなくなるので有料セミナーとし、不動産購入を真剣に検討している人だけをスクリーニングして、東京のアメリカンクラブでセミナーを開くのだそうだ。価格についても、ハワイのコンドミニアムとなるとバンコクよりもかなり高額となり、日本人が買う物件も3,000万円から4,000万円がボリュームゾーンで、1億円以上の物件取引もそうは珍しくないとのこと。

一方、私のセミナー参加者の平均像を見ると、写真からも分かるように30代、40代の人達が中心で、予算も1,500万円からせいぜい2,000万円といったところだ。日本の団塊の世代や富裕層にとってハワイは今も憧れの地であり、そこに投資を兼ねたリゾートコンドを持つというのが理想のようだが、バンコクに投資しようとする人は年齢層がやや低いこともあり、将来の資産形成目的の投資が圧倒的に多い。

従って、私はセミナーの中でもできるだけこの投資ニーズを満たせるような話をしてきたつもりだし、予算的に無理をしてでもトンローやプロンポンのラグジュアリー級コンドを買えなどと勧めたことはない。むしろ駅近の築浅中古物件で12万バーツ/m²以上、できれば15万バーツ/m²程度のハイクラス物件に投資することを一貫して勧めてきた。なぜなら、バンコクの場合、物件選択さえ間違わなければ、ダウンタウンでもミッドタウン・フリンジでも不動産投資の重要尺度であるIRR(内部収益率)に大差がないからだ。

バンコクでは予算が2,000万円くらいでも、タイ不動産投資の基本である、①ロケーション、②クオリティ、③築年数―の3つの重要な投資クライテリアを満たす有望物件が買える。何も20万バーツ/m²以上もするラグジュアリーコンドに絞り込む必要はないのだ。
ところで、最近の調査によれば、バンコクのコンドミニアムを買っている香港やシンガポールなどの外国人投資家の間で、最も人気がある物件価格帯は500万から1,000万バーツということだ。日本円にして1,600万円から3,200万円だが、つまりこのセグメントが現在のバンコク不動産投資の主戦場なのである。


藤澤 慎二
前職はドイツ銀行の国際不動産投資ファンド、RREEFのシニア・アセットマネジャーで米国公認会計士。現在はバンコクに在住し、自身のブログ「バンコクコンドミニアム物語」(http://condostory.blog.jp)で、バンコクの不動産マーケット情報を発信している。
連絡先:087-481-9709
bkk.condostory@gmail.com

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