【野村総合研究所】タイ、アセアンの自動車ビジネス新潮流を読む

アジアの新興EVメーカーの台頭の展望(前編)

アセアンで台頭する地場 EV メーカー

 最近、アセアンでは、各国で電気自動車(EV)普及奨励策が発表されてから、地場資本による自動車産業への参入が相次いでいる。最も話題をさらったのは、今年中に自動車の量産を開始するベトナム初の地場メーカーであるVinfastである。それ以外にもタイではEnergy Absolute社のEVブランドMine、マレーシアの第三国民車構想、インドネシアの国家電気自動車プログラム(MOLINAS)等枚挙に暇がない。

 例えば、Vinfastは、ベトナム最大の不動産グループのVinグループが立ち上げたブランド。4,000億円を投資し、今年8月に25万台の工場をハイフォンに立上げ、将来的にはトヨタのタイ工場の生産能力に匹敵する50万台規模に拡大する計画である。2018年末に電動スクーター、19年までにEV仕様も含む7人乗りのSUV及びセダンを生産・販売する予定。BMW、ボッシュなどの欧州メーカーと技術提携のMOUを結び、キーユニット、設計・製造技術の支援を受ける。


2019年3月のモーターショーでEVを発表するAbsolute Energy

 タイのアブソリュートエナジーも話題性に事欠かない。元々はバイオディーゼル燃料メーカーから出発し、太陽光発電や風力発電事業を展開。2018年に突如EV事業に参入すると発表。19年3月のモーターショーでEVの発売を開始し、4,500台を販売受注し、モーターショーでの販売台数ではトヨタ、マツダ、ホンダに次いで4位に入った。当社は、台湾のリチウムイオンポリマー電池メーカー大手のAmita Technologiesを買収し、20年に1ギガワットの電池工場をタイのEEC(東部経済回廊)に40億バーツ投資する計画を発表している。 


(ArayZ 7月号に続く)

執筆者:野村総合研究所タイ

マネージング・ダイレクター
田口孝紀


シニアコンサルタント
山本 肇

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