【野村総合研究所】タイ、アセアンの自動車ビジネス新潮流を読む

タイのxEV関連投資動向(前編)

地域でxEV関連投資・生産でリードするタイ

 今年6月初めに、バンコクでEVAT(タイ電気自動車協会)主催のセミナーが開催された。アセアン5ヵ国(タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ミャンマー)からのEV関連団体も集まり、現在のxEV(電動車)の普及のための政策や技術などについて議論された。このセミナーで特に注目されたのはタイでのxEV関連の投資動向である。

 BOIの発表資料によると、ハイブリッド、プラグインハイブリッドを含むxEVの申請件数33件、投資金額32億ドル、生産計画台数は60万台に及ぶ。少なくとも計画レベルでは、タイが域内ではxEVの生産・投資でトップを独走していることを印象づけた。しかも、申請件数ベースでは、BEVが20件と最も多く、従来の自動車メーカー以外に、他業種やスタートアップが参入を試みていることを示し、興味深い。

 他方で、BOIの承認件数ベースでは9件に上り、その内訳は、ハイブリッド(HEV)4件、プラグイン(PHEV)4件、電気自動車1件である。ここで注目されるのは、国別でのxEV戦略の違いが明確に現れていることである。日系は合計6件のうち、トヨタ、ホンダ、日産等4件がハイブリッドである。

 他方で、欧州系2社と中国系1社は、全てPHEVで認可を得ている。バッテリー電気自動車(BEV)で唯一認可を得ているのは、一般の乗用車よりも車格の小さい小型モビリティーを生産する日系ベンチャーのFOMMである。

表:xEV関連のBOI投資申請・認可件数
(単位:件数)

(ArayZ 9月号に続く)

執筆者:野村総合研究所タイ

マネージング・ダイレクター
田口孝紀


シニアコンサルタント
山本 肇

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