【野村総合研究所】タイ、アセアンの自動車ビジネス新潮流を読む

第25回 エコカー2で市場喚起狙う主要日系メーカー(前編)

タイ、アセアンの自動車ビジネス新潮流を読む

2019年の生産期限相次いで新モデル投入

昨年のバンコク・モーターエクスポ(11月29日~12月10日)に合わせて、主要日系3社がエコカー・フェーズ2(以降、エコカー2)の新型モデルを投入した。その背景には、2013年に発表されたエコカー2政策では、生産開始期限を19年に設定していたためである。つまり、プロジェクトに応募した自動車メーカーは同年末までに生産しないと、資格を失うことになる。各社はエコカー1に比べて厳しい燃費基準、Co2排出基準などを満たすために、モデルチェンジすることで間に合わせた。主要日系各社のエコカー2の新型モデルが出揃ったことで、20年の市場はエコカーが牽引すると予想される。

日系のみとなったエコカー2参画

07年に発表されたエコカー1に比べて、エコカー2の基準は格段に厳しい。Co2基準、燃費基準では、エコカー1はそれぞれ120g/km、20km/Lであるのに対して、エコカー2では100g/km、23.25km/Lへと基準が引き上げられた。さらに、エコカー2は、排ガス基準ではEuro5対応。アンチロック・ブレーキシステム(ABS)、横滑り防止装置(ESC)など事故を未然に予防するアクティブ・セーフティ装備の標準化も求められる。また、投資規模については、エコカー1は50億バーツに対して、エコカー2では、新規参入メーカーの場合は65億バーツに引き上げられた。中国系のMG、米系のGM、Fordも手を挙げたが、結局ふたを開けてみると、新規に参入できたのはマツダのみ。他は、エコカー1から参入している日系5社のトヨタ、三菱、日産、スズキ、ホンダであった。

エコカー2の最大のメリットは、物品税の引き下げである。非エコカーであるBセグメントの物品税20%、エコカー1の同17%に対して、エコカー2では最大で12%まで引き下げられる。タイ投資委員会(BOI)からは、法人税6年間の免税も受けられる。


出所 : FTI Automotive Club資料よりNRI作成

(2月号へ続く)

執筆者:野村総合研究所タイ

マネージング・ダイレクター
田口孝紀


シニアコンサルタント
山本 肇

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