もう悩まない!人材採用&育成のコツを解説 Vol. 7 タイ人事相談室《番外編》|en world

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タイで日系企業への人材紹介に携わり7年の経験を持つ下川ゆう氏が、人材採用や育成にお悩みの読者様へコツを解説する本コラム。今月はいつもの連載をお休みして、番外編にてお届けします。 テーマは『アジア地域における管理職採用のトレンドと課題』です。

アジア4ヵ国比較から考える 真のグローバル採用とは

6月に東京で開催された、企業の人事・組織戦略・人材関連サービスのための専門イベント「ヒューマキャピタル2016」にエンワールドとして出展しました。私も当社グループの韓国、シンガポール、ベトナムのジャパンデスク担当者と共に〝グローバル人材支援 〞に関するソリューショニストとして参加。4ヵ国を代表して、『現地リクルーターが語る、アジア地域における管理職採用のトレンドと課題』という題目で講演を行いました。今回は番外編として、当日お話した内容をご紹介したいと思います。

激化する人材獲得競争に日系企業が勝つには?

残念ながら、日系企業は欧米系やローカル大手企業に比べると給与水準が低く人気が低い、というのが各国担当者の共通認識です。採用マーケットの成熟度が進む韓国やシンガポールでは、より大手の欧米系企業やローカルの大手企業へ就職して稼ぎたい、キャリアを積みたいと考える人が多いよ うです。
やりがいのあるポジションを用意することができれば、優秀な人材も日系企業でのキャリア構築に興味を持つ可能性があります。企業は候補者に対してビジョンやミッション、仕事内容を明確にアピールすべきです。

賃金上昇に伴う優秀人材の獲得、定着に課題

採用の権威委譲度に関しては、韓国、シンガポール、タイ、ベトナムの順番で高く、現地化が進んでいます 。シンガポールでは現地人人材がダイレクターなど上層部に配置されるケースも珍しくなく、韓国に関しては社長のみが日本人駐在員で、一部の経営層の採用以外は、 韓国人マネージャーに任せられています。
各国、日本本社の経営層に現地の状況についてなかなか理解してもらえず、駐在員が現地と板ばさみになってしまうこともあります。また、「仕事の範囲を明確にしない」、「チームで協力し合って目標達成を目指す」、「年功序列で組織構造の曖昧な人事評価」といった、日本ならではのスタイルが優秀人材採用の壁となっており、継続的に組織内で活躍してもらうためのビジョンや課題を与えることが苦手という点でも苦労しているようです。
日本人駐在員は3年〜5年単位で入れ替わることもあり、現地人材に権威を委譲できず、中間管理職が成長しない、現地化が実現できないという課題には、日本本社との現地の実情をすり合わせと、相互理解、方向性の一致が求められます。
(次回は9月号に掲載されます)

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下川 ゆう yu shimokawa
en world Recruitment (Thailand) Co., Ltd.
日系チーム チーム・マネージャー
立教大学卒業。大手人材紹介会社の東京本社で経験後、2009年に来タイ。以来、在タイ日系企業への人材紹介に従事。顧客企業の組織発展のための採用支援を得意とし尽力している。

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