南部経済回廊 貨物鉄道輸送の発展を目指し日タイ協力における小型コンテナ鉄道輸送、試験運用を開始

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志村務日本国土交通省鉄道局次長

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アーコム・トゥームピッタヤーパイシット運輸大臣

日本から届けられた日本貨物鉄道株式会社(JR 貨物)の小型コンテナ(12 フィート)による、貨物鉄道輸送の試験運用開始式が2月5日、ラチャブリー県ノンプラドゥック駅にて開催された。式典には志村務日本国土交通省鉄道局次長、アーコム・トゥームピッタヤーパイシット運輸大臣、オムシン・シワプルク運輸副大臣、ウティチャート・カラヤナミットタイ国有鉄道(SRT)総裁ほか、約300名の事業関係者らが列席した。
式典で志村次長は、「貨物輸送の課題については陸送ドライバー不足、環境問題、民間企業においては輸送コスト削減など、日本もタイも同じような状況にある。日本が培ってきたノウハウをタイで活用してもらいたい」と述べた。
また、アーコム運輸大臣は「鉄道政策はタイの重要政策のひとつ。貨物鉄道輸送は物流にかかる時間が削減され、またこの小型コンテナは輸送コストが低く、中小企業にとっても使い勝手が良いもの。渋滞解消にも繋がると期待している」と話した。
日タイ両政府は2015年、鉄道分野において3つの協力覚書を締結し、幅広い協力を進めている。そのひとつに「南部経済回廊貨物鉄道整備事業準備調査(PPPインフラ事業)」があり、国際協力機構(JICA)は、同回廊に係る鉄道施設および貨物輸送事業の整備・改良に関する調査を同年11月より開始している。
同プロジェクトは民間連携事業として、豊田通商株式会社およびJR 貨物が調査の企画提案企業を務める。南部経済回廊路線は、カンチャナブリ-バンコク、バンコク-チャチェンサオ-アランヤプラテート、バンコク-チャチェンサオ-レムチャバンを通過、日本企業の工場も多く進出する産業集積地帯もあり、この地域の鉄道輸送の開発は、日本、タイ、そしてASEANの経済発展のためにも重視されている。
調査結果を踏まえ、将来的に日本の貨物鉄道の運行・管理、コンテナ荷役などのノウハウをタイに提供することにより、タイにおける環境問題、物流コストの低減、貨物鉄道の活性化への貢献を目指している。
タイでの貨物輸送においては現在、道路輸送が約8割を占め、鉄道シェアは1.4%に過ぎない。道路輸送は渋滞や事故による遅延、CO2 排出量などの問題があり、タイ政府は鉄道シェアを5%に上げるべく政策の具体化を図っている。

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コンテナ移動のデモンストレーション

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コンテナ内部の様子

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