不動産のプロ・GDM記事

GDMが解説する<業界動向> -消費財セクター編-

タイ経済を読み解くにあたり、まずはSET(Stock Exchange of Thailand) に上場している企業の売上規模を把握しよう。第3回は、消費財セクターのメインプレーヤーをご紹介。

タイの近年の経済状況

海外投資を背景に成長してきたタイですが、ここ数年間に目を向けると大洪水や政治的内部対立、軍事クーデターなどの影響もあり経済の成長力は鈍化傾向にありました。しかし、2016年の実質GDP成長率は+3・2%と直近の数年間では最高の伸び率となりました。2017年についてもタイ経済成長率の見通しは+3・0%~4・0%になると見られ、この傾向は今後も続くと予想されます。

今回取り上げる消費財セクターは、普段の生活の中で目にする、身近な製品を製造販売している会社がほとんどです。消費財セクターの業績は、経済活動の重要な要素である消費動向を見るポイントの一つになると考えられます。そこで、消費財セクターの「衣類」と「消費財」にフォーカスして、メインプレーヤーやマーケットの規模感、直近3期間の比較による市場の動向を見ていきます。

消費財セクター動向

衣類の分野に関しては、直近の3期間を比較すると売上は上昇傾向にあります。ASEAN域内での衣類やその材料となる繊維類のニーズが高まっており、ワコール・タイ社のように生産力のベースを向上させるためにタイ国外に子会社を設立したり、投資を積極的に行っている企業が多数あります。

一方でこの分野は、ファッショントレンドの変化に伴って消費者のニーズが変化するのが特徴です。ラッキーテックス社は、ファッション業界の変化とそれに伴うデニム製品の売上低下を受けて、コア製品であったデニムの生産ラインを工業材料のエアバック生地の生産ラインにシフトし、業績を伸ばしています。

家庭用品の分野に関しては、電化製品、家具、ガラス製品など、各会社で生産販売している製品が異なるため、一概に比較することはできませんが、共通していることは、どの会社もASEAN域のマーケットをターゲットとしており、そのターゲットとなる消費者の消費量が増加していることに伴い、業界全体としては伸びていく傾向にあるということです。一方で、各会社に目を向けるとインドや中国企業との激しい競争に合い、製品価格の低下によって、販売量は上がっても売上が伸びない状況となっている企業もあります。

家庭用品の分野だけでなく、タイ企業の一般的な傾向ですが、今後のマーケットの変化を見据えたリスクヘッジやビジネス機会を得ることを目的に、メインビジネスとは異なる分野への投資を積極的に行っている傾向があります。

消費財セクター「衣類」

消費財セクター「家庭用品」

今回は、消費財セクターの衣類と家庭用品の分野に絞って市場のメインプレーヤーとその規模感や状況についてご紹介しました。消費財セクターの業績は、経済活動の重要な要素である消費動向を見るポイントの一つのになると考えられるので、今後も定期的にウォッチする必要があるでしょう。

※ランキングは、SETに上場している企業のセクター別売上額を基準にしています。
※本資料は情報提供を唯一の目的としており、予測・分析の妥当性などは独自でご判断ください。

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