日刊工業新聞

グローバル経営 適地生産適地販売 内山工業―ベトナムに車部品の最大拠点

取引先近くで現地生産

内山工業(岡山市中区)は、ベアリングシールやシリンダーヘッドガスケットなどを生産し、国内外の自動車メーカーを顧客に持つ。祖業のコルク事業を含めグループの生産拠点は国内が17ヵ所、海外は米国やポルトガル、中国など合計6ヵ国に展開する。現在はベトナムが国内も含めて最大の生産拠点となっている。

 内山工業は1898年(明31)、ガラス瓶などを密封するコルク栓の生産を目的に創立した。1930年には自動車メーカーからの要請を受け、耐油性圧搾コルクを開発、自動車部品の生産を始めた。現在では内山工業のグループ売上高884億円(2018年9月期)のうち、自動車部品が8割以上を占め、地域別では国内と海外が半々という状況だ。

 自動車部品はガスケットとシール材が2本柱。コルク栓で培った「密封と絶縁という技術を引き継いでいる」(西崎俊男専務)。独立系の部品メーカーとして、研究開発に注力し、市場占有率が高い製品が複数ある。中でも車輪ロック防止装置(ABS)用エンコーダーシールは世界シェア4割を持つという。

 取引先は国内すべての自動車メーカーに加え、海外勢では独のフォルクスワーゲンやBMW、米国のゼネラル・モーターズやフォードなどが名を連ねる。

 1990年代後半に取引先の近くで生産することを主な目的とし海外展開を本格化した。97年に米国とポルトガルでガスケットとシール材の生産を開始。2000年にベトナム、04年に中国でも生産を始めた。中国と韓国、インドには合弁の工場があり、海外は七つの生産拠点を構える。
最大の生産拠点であるウチヤマベトナムは、ベトナム南部に4工場を整備し、現在の従業員数は約3,000人。「日系企業としては早い時期の進出だった」(同)と振り返る。人件費の安さや国民の勤勉性、さらには現地社員の育成を進め生産規模を拡大。近隣国だけでなく、日本や欧州、米国などに生産した部品を供給する拠点に成長した。

 ウチヤマベトナムに日本から派遣しているのは現地法人の社長らわずかに4人。工場長やそれに次ぐクラスの幹部は現地で採用し、育成した人材が就いている。

 同社は海外拠点の運営にあたり、可能な限り現地に任せるようにしている。ほかの拠点にも日本から派遣しているのは3-4人。現地で採用した人材をQC活動やカイゼン活動などを通じて育成し、幹部候補には日本の工場で短期研修も実施する。最終的には現地の人材だけでも工場運営の判断ができるようになるという。

 今後も海外に成長の糧を求める。2018年の生産台数が410万台と世界6位の自動車生産国に発展したメキシコが次の進出先。20年末に稼働し、米国などから供給していたシール材などを現地生産する計画だ。

※ 記事提供:日刊工業新聞(大櫛茂成2019/6/5)


▲ウチヤマベトナムは内山工業のグループ最大の生産拠点

gototop