日刊工業新聞

グローバル経営 適地生産適地販売 TDKラムダ―アジア生産拠点、自動化

どこでも同品質の電源供給

TDKラムダ(東京都中央区)は日本、中国、アジア、欧州、北米の世界5極で電源などの生産を手がける。各地域に研究開発や営業体制を持ち、地域で得たマーケティングや新技術の情報を生かした製品開発を推進。特に生産現場においては日本、中国、マレーシアの、どの生産拠点でも同じ品質の製品が作れる「ロケーションフリー」体制の構築を目指し、取り組みを加速している。

 TDKラムダは電子部品、磁気ヘッド、電池、センサーに続くTDK第5の柱である電源事業を支えるTDKの主要子会社。2015年ごろの為替相場の急激な円安をきっかけに、これまで海外拠点で生産し、国内顧客に提供していた標準タイプ電源などを電源生産のマザー工場で、特注電源を主力とする長岡テクニカルセンター(新潟県長岡市)でも量産を始めた。

 生産現場で継続的に進めているのが人とロボットが協働する「自働化」だ。生産統括部は19年度方針の一つに「自働化・ロボット化・IoT(モノのインターネット)化による『ロケーションフリー』生産体制の推進」を掲げる。日本、中国、マレーシアの4拠点における18年度の自動化投資額は前年度比3.2倍としていた目標を達成した。今年度も前年度と同等額を見込む。

 TDKラムダは、標準タイプ電源や特注電源などのロケーションフリー体制の構築に向け、フェーズを4段階に分類している。17年度までの3年間はフェーズ1と2に該当。長岡、中国・無錫、マレーシアのクアンタンとセナイの4拠点で独自の自働化技術に取り組み、既存製品に水平展開を進めてきた。

 18年度からの3年間はフェーズ3と4に該当し、各拠点で推進している特定工程内の自動化技術を別拠点にも導入したり、高難易度の作業の自動化を進めたりしている。さらに19年度からはフェーズ4に向けて生産管理システムの共通化に乗り出す。矢代博行社長は「生産管理システムに手を入れる」と強調。生産系情報システムのうち、製造現場の作業情報を収集する「MESシステム(製造実行システム)」を日本に導入し、導入済みの中国、マレーシアとの連携を強化していく。

 こうした取り組みを通じ、消費地生産を加速。18年度の主要アジア生産拠点の生産額構成比は中国・無錫が30%弱、マレーシア・クアンタンが約30%、同セナイが20%強、長岡は20%弱だった。今後は特に長岡での生産能力を引き上げ、21年度に長岡の生産比率を25%まで高める計画だ。

 製品の消費地生産とともに部品の現地調達化も進めてきた。中国・マレーシアにおける調達率は18年度実績で89%に達している。矢代社長は「現地で調達し、現地で生産するのがあるべき姿。現地調達することで顧客が求めるタイミングで顧客が求めるモノを迅速に提供していきたい」とし、日系を含む現地顧客の満足度をさらに高めていく方針だ。

※ 記事提供:日刊工業新聞(山谷逸平2019/6/26)


▲人とロボが協働するセルライン(長岡テクニカルセンター)

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