【連載第3回】藪本 雄登氏がアドバイス! カンボジア、ラオス、タイ三ヵ国法務比較

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カンボジア、ラオス、タイの外資規制 「 第3回 ラオス編」

タイからカンボジア(例えば、ポイペト地区への進出など)、タイからラオス(例えば、サワンナケートへの進出など)といった、いわゆる「タイ+1」進出が増加してきています。
本連載では、タイを中心に、カンボジアやラオスといったタイ+1諸国に関する法制度をご紹介します。

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<ラオスの外資規制>

2009年のラオス投資奨励法(以下、投資奨励法)は内外資の区別をせずに、広く投資を奨励することを明記しています。しかしながら、投資奨励法は2004年外国投資奨励法に引き続き、投資を奨励しない例外的分野として、「短期的あるいは長期的に国家の安全保障に関わったり、自然環境に悪影響を与える地域や事業、または公衆衛生や国民文化に害を与える事業」を挙げています。

ラオス人の資本参加が必要な分野

条件付き外国投資許可分野は個別に定められていますが、ラオス人の資本参加が求められている分野は以下のような業種があります(一部のみ紹介)。

・アルコール、ビール製造
・物流業
・医薬品の製造
・建設業 など

加えて、卸売・小売事業に関する商工省決定(No.0977/MOIC.DDT)」(2012年5月18日付)、「ラオスにおける卸売のための輸入企業設立時の外国人投資家の合弁が可能な商品と投資比率についての商工省大臣告示(No.126 5/MOIC.SLT)」(2012年6月28日付)によれば、ASEAN域内の投資家を対象に、輸入会社設立を条件に、かつ、織物、繊維、衣服、靴製品の卸売業を行う場合には外国企業の出資比率は49%まで出資可能ですが、2012年5月以降、小売業については一切の外資出資が禁止されています(それまでは外資出資比率25%まで可能)。
現在、ラオス商工省内では、外資企業に対する卸売、小売業に関する規制緩和に関する議論が行われており、今後、卸売、小売については、規制緩和が進む可能性もあります。最近では、ショッピングセンターや百貨店に対する投資について、一部規制緩和が認められました。
上記以外にも法令などで明記されていない事実上の外資制限分野もあり、必ず個別確認が必要です。

まとめ

タイの外資制限は、カンボジア、ラオスと比較して制度として成熟しています。他方、カンボジア、ラオスの外資規制は不透明な部分も多く、事前調査が必ず必要です。
カンボジアに関しては、外資規制は原則存在していませんが、近年、一部の分野においては、外国人の参入を規制するような動きが散見されるような状態になってきています。
また、ラオスの外資規制は、法令ではなく、各省庁の内規などで規定されているケースも多く、規制に対する予見可能性が極めて低い状態です。今後、ラオス国内で議論されている小売業、卸売業にみられるような規制緩和の動きにも注目です。

Yabumoto
JBL Mekong代表・藪本 雄登
カンボジアで数年間の実務経験を有し、ラオス提携事務所を往復しながら、新興メコン法務全般に従事。新興メコン地域の法務に関する知識と実務経験をもとに、メコン地域への進出戦略の策定、進出時のリーガルフォロー、紛争発生時の対応などを執り行う。
【主な著書・執筆実績】
『カンボジアで事業を興す』(キョーハンブックス、2014年6月)
『カンボジア進出・展開・撤退の実務』(同文舘出版、2014年4月)
『カンボジア会社設立マニュアル』(日系公的機関より受託)
『カンボジア労務マニュアル 第2改訂版』(日系公的機関より受託)
『ラオス労働法』(日系公的機関より受託)

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