カシコン銀行経済レポート

【連載】カシコン銀行経済レポート 2019年5月号

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タイ経済・月間レポート(2019年5月号)

3月は外需縮小によりタイ経済は緩やかな成長

2019年3月のタイ経済は緩やかな成長になりました。主要輸出先の経済の減速や、米中貿易摩擦の影響などにより、輸出が縮小しました。また、民間投資と外国人旅行者が減少しました。しかしながら、国内需要では民間消費の拡大ペースが緩やかになりました。一方で、工業生産が民間消費の鈍化と輸出の収縮により減少しました。

19年4月の消費者物価の上昇率は、前年同月比1.23%上昇し、前月から伸びがほぼ横ばいでした。22ヵ月連続で上昇しました。非食品・飲料部門の伸びが引き続き加速しました。また、食品・飲料部門の上昇も全体を押し上げました。一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、同0.61%の上昇で、前月から伸びがほぼ横ばいでした。

昨年から今年にかけてタイにおける多くの自動車メーカーは、タイ投資委員会(BOI)から電動車生産向けの恩典を取得し、電動車の投資、特にハイブリッド車(HEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の生産強化を進めています。よって、今年から電動車用バッテリーの現地生産の本格化が始まると見込まれます。19年に一部の自動車メーカーはタイで国内外向けに電動車用バッテリーの製造を開始する予定があります。

カシコンリサーチセンターは、23年の電動車用バッテリーの生産個数は43万個になると予想します。世界市場でのシェアは3%になる見通しです。そのうち、国内市場向けのバッテリー生産が26万個になる見通しです。一方で、輸出向けのバッテリー生産は17万個になると予測します。

2019年4月のタイ経済情報

 タイ中央銀行が発表した19年3月の重要な経済指標によると、タイ経済は前月に比べ緩やかな成長になりました。外需の縮小は輸出と外国人観光客数のいずれも収縮したことによります。国内需要では民間消費の拡大ペースが緩やかになりました。

 3月の民間消費は前年同月比2・6%上昇しました。前月に比べると伸びは減速しました。非耐久消費財が縮小しました。燃油消費量が前年同月のハイベース効果により収縮しました。その他カテゴリーの支出は引き続き拡大しました。非農業部門の被雇用者の所得は増え続けていますが、農業部門の所得は農産物価格の下落と収量の減少から収縮しました。

 一方で、民間投資は前年同月比2・1%縮小しました。建設認可を受けた土地の面積が同13・4%縮小したほか、国内の機械販売が同5・9%下落しました。また、商用車の購入、建材の販売もそれぞれ同3・8%、同1・8%下落しました。しかしながら、機械・設備を中心とした資本財の輸入は同8・4%上昇しました。

3月の輸出は、前年同月比4・2%縮小しました。主要輸出先の経済の減速や、米中貿易摩擦の影響などにより、電子製品輸出の下落が続いていることから縮小しました。しかしながら、自動車・部品、農産品や合成ゴムなどは伸長しました。

工業生産に関しては、前年同月比2・5%減となり、2ヵ月連続でマイナス成長になりました。民間消費が鈍化し、輸出が収縮した結果、工業生産も減少しました。

観光業では、外国人観光客数が前年同月比0・7%減の347万人となりました。今年の復活祭が4月半ばにずれ込んだ結果、欧州の観光客は3月の渡航を手控えました。中国人旅行者も昨年が好調だった反動で減少しました。いずれにしてもその他の主力市場からの観光客数は引き続き拡大しています。

2019年4月のタイのインフレ率

 商務省が発表した19年4月のヘッドライン・インフレ率は、前年同月比1・23%上昇し、前月から伸びがほぼ横ばいでした。22ヵ月連続で上昇しました。非食品・飲料部門の伸びが引き続き加速しました。また、食品・飲料部門の上昇も全体を押し上げました。

 品目別にみると、非食品・飲料部門が前年同月比0・67%上昇しました。運輸・通信が同1・06%、住宅が同0・52%、医療・ケアが同0・34%それぞれ上昇する一方、たばこ・酒は同0・03%下落しました。食品・飲料部門は同2・20%増となりました。米・粉製品の上昇率が同3・33%、肉・魚が同3・33%、調味料が同3・39%、果物・野菜が同4・26%上昇しました。

 一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0・61%の上昇で、前月から伸びがほぼ横ばいでした。




2023年にタイの電動車のバッテリー生産は43万個にのぼる見通し



 昨年から今年にかけてタイにおける多くの自動車メーカーは、タイ投資委員会(BOI)から電動車生産向けの恩典を取得し、電動車の投資、特にハイブリッド車(HEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の生産強化を進めています。また、恩典の付与と引き換えに自動車メーカーはバッテリーの現地生産を求められています。

 このため、今年から電動車用バッテリーの現地生産の本格化が始まると見込まれます。19年に一部の自動車メーカーはタイで国内外向けに電動車用バッテリーの製造を開始する予定があります。しかしながら、これらの投資事業は、現段階ではバッテリーのパッケージの最終組立であり、バッテリーセルなどのコアの部品は日本などの国から輸入されます。

 国内市場向けの電動自動車、特にHEVとPHEVの販売は明るい傾向にあると予想しま す。その主な理由は、電動車の物品税が内燃機関自動車よりも低いため、自動車メーカーは消費者に対し魅力的な価格の設定が可能となっていることによります。

 カシコンリサーチセンターは、23年の電動自動車の販売台数が約24万台で、自動車販売台数全体の4分の1を占めると予測します。また、今後5年間(19~23年)の電動自動車の累積販売台数は73万台に達する見通しで す。HEVの販売累積台数が55・8万台、PHEVが15・4万台、電気だけで走行する純電気自動車(BEV)が2・1万台になると予想します。よって、国内自動車市場向けの電動車用バッテリーの需要も着実に伸びていくことが見込まれます。

カシコンリサーチセンターは、23年の電動車用バッテリーの生産個数は43万個になると予想します。世界市場でのシェアは3%になる見通しです。このうち、国内市場向けのバッテリー生産が26万個になる見通しです。自動車組み立て用が24万個、交換用が2万個になる見込みです。一方で、輸出向けのバッテリー生産は17万個になると予測します。その輸出先は、日本、東南アジア、およびオセアニアです。

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