生産、物流現場カイゼンの 知恵を学ぶ

vol.5 減産時にすること

生産、物流現場カイゼンの 知恵を学ぶ vol.5

一般社団法人 生産、物流現場カイゼン研究会バンコク支店の門脇です。ついに2020年の幕が明けました。今年もよろしくお願いいたします。今回のテーマは“減産時にすること”です。

新年早々、「縁起でもない…」と思われてしまうかもしれませんが、現実問題として周りで受注が減ってきている…と耳にしたことがあるはずです。そんな時、鉄板で手をつける事としては在庫低減や資材の一掃、空いた時間を使ったスタッフ教育、現場の2S(整理・整頓)などがあります。

しかし、長い停滞に入ると「もう、やることがない」「生産が増えなければスタッフの士気が上がらない」といった雰囲気になりがちです。 そんな時に試してもらいたいのが寄せ止めです。

寄せ止めの定義は下記です。

同等・同仕様・同分類等の設備・ラインが複数存在する場合、中長期で各設備・ラインの負荷を予想し、稼動設備・ラインが一定以上の稼動率(80%以上)が確保できるよう、生産品を稼動設備・ラインに引当変更(「寄せる」)し、余った設備やラインを「止め」て、転用等でスペース等を含め有効活用すること。設備・ライン・スペース・人の効率的な運用と結果の確認が可能となる。
日本実業出版社『トヨタ語の事典』より引用

簡単な例で図解してみます。Line A:製品Aを製造/稼働率45%、Line B:製品Bを製造/稼働率40%の2つの製造ラインがあったとします(図①)。

図①

これらのラインを寄せ止めすると、Line A:製品A+Bの製造を集約して稼働率を上げる。Line B:停止して試作や効率化の練習ラインとして段取り替えをする。長期で不要になるなら、設備を移動してスペース確保や売却の検討となります(図②)。

このように、あえてラインの余裕をなくして、人員や設備負荷(稼働率)を上げる。空いた設備は保全などに充てて、Line Bの人員はLine Aの稼働率向上のための段取り替えカイゼンに挑戦させる。こうすることで、最少の設備・人員で実践的な研修をする機会を意図的に作ることができます。これが寄せ止めです。

経営的に見ても2つのラインを動かしていた時よりも、必要な人員、仕掛かり在庫や電力といった経費が下がるので効率的です。現場カイゼン組も新しい課題に取り組むことができ、生産が落ち着いて生まれた時間を有効に使うことができます。

今回の話がいつか役に立つヒントとなれば幸いです。あなたの現場がもっと良くなることを応援しています。

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現場カイゼン診断士 門脇 圭 プロフィール写真
一般社団法人 生産、物流現場カイゼン研究会
現場カイゼン診断士 門脇 圭
タイ、中国、マレーシア等在外合計26年、1,600社超の生産・物流現場のカイゼン処方箋を提供。カイゼン事例多数。2003年に生産、物流現場カイゼン研究会(a-Sol上海)を設立し、その後、香港、東京に拠点を拡大する。13年には一般社団法人 生産、物流現場カイゼン研究会を設立し理事長に就任。15年にa-Sol Thailandを設立。その後、タイCPグループのPanyapiwat Institute of Management大学にて現場カイゼンに関する講義を実施など活動を広げ、現在は芝浦工業大学の特別講師も就任。

当研究会は「現場」で様々な問題を抱えている皆さんに「現場カイゼンシステム」を使っての問題解決や、トヨタ生産方式(TPS)を活用するカイゼニストとの「現場カイゼン活動」を通じて問題を解決することが仕事です。


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