知的財産経営in東南アジア

知的財産経営in東南アジア 「下町ロケット」のあのシーン、会社で起こったらどうしますか?【第10回】|Masuvalley

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「ここだけの話」は、いけませんよ!

今回もトレードシークレットについてお話したいと思います。転職が多く現地人同士の情報交換が頻繁な東南アジアでは、例えば、会社員が利益を得るために、新製品の設計情報をこっそり漏らしてしまうといった会社の重要な秘密の情報を他社へ流出してしまうトレードシークレット違反は、よく起きている問題です。

しかし、会社が元社員の動向を制限するというのは難しいですよね。実際に、元社員が転職先で何をしているのか把握することすら無理だと思います。そのため、日系企業の経営陣が会社の秘密の情報の流出を見つけた時には、事案が既に相当ひどいことになっていることが多いようです。つまり、表面化しないと分からないし、分かった時には残念ながらもう手遅れというパターンです。たとえ退職前に同業に転職しないなどの誓約書を書かせても、抑止策にはなり得ません。

実際のところ、日本でも会社員が秘密情報を 「ここだけの話」として、競合他社などへ話をしてしまっている例はありますよね。下町ロケットの中でも、同じ大学出身である帝国重工の財前部長に誘い出されたナカシマ工業の三田法務部長は、「ここだけの話」ということでナカシマ工業の佃製作所に対する法廷闘争計画を打ち明けます。その後、財前部長は佃製作所の特許がナカシマ工業の手に落ちる前に手を打とうと決めるわけです。
日本の企業では、かつての欧米企業からトレードシークレット違反を訴えられた反省や、株式市場の透明性を上げて企業価値を向上するため、現在では「コンプライアンス」を遵守する考え方が主流になりつつあります。競合他社と会うことは禁じられているか、事前に会社の了承が必要になる例が多いようです。

一方で、「コンプライアンス」という考え方になじみがない東南アジアでは、大事な商談の合間や入札の待合室でさえも、自社の現地従業員が競合他社の現地従業員と親しげに話をする光景がままあるそうです。現地語で日本人にはよく分からず、「一体、何を話しているんだろう?」と不安になると聞きます。

会社の秘密の情報の流出は、東南アジアでは 普通に起こり得ます。次回は、過去の日本企業の勘違いを例に、トレードシークレットが企業に及ぼす影響についてお話したいと思います。
(次回はArayZ2017年1月号に掲載されます)

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執筆者:舛谷威志
東南アジア、日本、アメリカ、中国に拠点を持つMasuvalley and Partnerのオーナー兼パートナー。2004年にアメリカで起業した後、多国間にまたがる技術法務の現地事務所を各国に設立。現在、弁護士・弁理士は、日本人5名、アメリカ人5名、中国人・タイ人合わせて5名の、合計15名が所属。

東南アジアでは、日本製品の物マネが横行しています!

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