知的財産経営in東南アジア

知的財産経営in東南アジア 「下町ロケット」のあのシーン、会社で起こったらどうしますか?【第9回】|Masuvalley

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中国の会社が日本の新幹線をそっくり真似て良いの?

今回から「トレードシークレット」について、複数回に分けてお話したいと思います。みなさん、トレードシークレットって聞いたことありますか? なかなか聞かないワードですよね。しかし、東南アジアの知的財産権問題で日本企業が遭遇する被害の多くはトレードシークレット違反なのです。

トレードシークレットとは、会社の重要な秘密の情報を他社へ漏らしてしまうことを言います。例えば、会社の従業員が自分に有利な転職をするために、いま働いている会社の新製品の設計情報をこっそり漏らしてしまうとか、営業して受注を取るために価格情報や仕入れ先の情報を見込み顧客に何でも話してしまうとかー。
どうですか、普通にあり得る話でしょう?これらはトレードシークレット違反という法律違反であり、会社が請求すれば処罰の対象になります。実際には、法律違反であることすら知らない人がほとんどです。

日本企業もかつて、欧米企業にトレードシークレット違反として、数多くの損害賠償金を支払ってきました。現在、日本企業ではこの欧米企業間とのトレードシークレット問題の反省や、株式市場の透明性を上げ企業価値を向上するため、「コンプライアンス」という考え方が主流になりつつあります。

みなさんは、中国の会社が日本の新幹線をそっくり真似て、インドネシアに売り込んだ話を覚えていますか。あれも、元々はトレードシークレットの問題なのです。日本企業が新幹線を中国に売り込んだ際に、トレードシークレットの管理が上手くできておらず、日本の製造会社が上手に偽物品を作れるほどの情報まで中国に与えてしまったのです。
インドネシアでは、本家の日本の新幹線が、中国企業の新幹線に受注を取られてしまうという、驚きの現象が起きました。日本政府が抗議しても、インドネシア政府は考えを撤回しようとしません。なぜなら、設計開発費用を掛けていない中国企業の新幹線の方が、本家の日本の新幹線よりも格段に安く購入できるからです。

このような現象が、これから東南アジアでも頻発するのではないかと言われています。次回は、下町ロケットを題材にもう少しトレードシークレットについてお話したいと思います。
(次回はArayZ12月号に掲載されます)

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執筆者:舛谷威志
東南アジア、日本、アメリカ、中国に拠点を持つMasuvalley and Partnerのオーナー兼パートナー。2004年にアメリカで起業した後、多国間にまたがる技術法務の現地事務所を各国に設立。現在、弁護士・弁理士は、日本人5名、アメリカ人5名、中国人・タイ人合わせて5名の、合計15名が所属。

東南アジアでは、日本製品の物マネが横行しています!

ニセ物被害を防ぐには、知的財産権を取得する必要があります。知的財産権を取得することで、お店・商品の名前、サービスの方法、商品の形状、技術の内容を、長期の間、その国であなただけが独占することができます(国ごとに権利が発生しますので、国ごとの申請が必要です)。我々は、ワンストップですべての国へ知的財産の申請が可能です。

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