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CLM(カンボジア、ラオス、ミャンマー)の解雇規制比較

CLM(カンボジア、ラオス、ミャンマー)の解雇規制比較

1 総論

「解雇したい従業員がいるのですが、どうすればいいですか?」というのは、法律事務所に寄せられる最も多い相談の一つです。

途上国においては、社会慣習や、人生設計における価値観の違い、そもそもの教育内容の違い等から、日系企業が求める価値観や労働水準との間に相違があることも原因となり、現地従業員の解雇が必要となる場面は相対的に多くなる傾向があります。しかし、解雇規制に関して、各国によって法律面での違いに加え、実務面の留意点や、後々の労働紛争解決機関の発展度などの違いという点からも、各国の特徴を把握しておくべきです。今回は、CLM(カンボジア・ラオス・ミャンマー)三国の解雇規制ついて上記各点を比較しながら述べていきます。

三国の無期雇用契約における解雇規制を一覧にした右記表の内、解雇に関する規定が労働法に存在するカンボジアとラオスに対し、ミャンマーについては労働法上、解雇するための要件や事前通知等を具体的に規定した法令が存在していない点が目を引きます。
この点、ミャンマーでは、解雇に関する事項が雇用契約書に盛り込まれることが法律で義務付けられており、雇用契約書において自由に解雇に関する事項を定めることができます。なお、行政通達が解雇補償金について規定しているなど、徐々にミャンマーでは、解雇に対する規制が強化されていく傾向にあります。

その他、カンボジアとラオスでは統一的な労働法が存在し、労働法には解雇に正当事由を要する旨が法定されている等の共通点が見られます。他方で、事前通知に関しては、カンボジアでは勤続期間に応じた期間が設定されているのに対し、ラオスは職種に応じた設定がなされているという違いが見られます。

紛争に発展した場合において、事件が調停から裁判へ付されるという流れは三国共通ですが、集団労働争議がこれまで多かったカンボジアでは(現在は労働組合法の制定により減少)、ラオス、ミャンマーと異なり労働仲裁機関が発展しており、既にある程度の仲裁判断の蓄積があります。

 


One Asia Lawyersグループ ミャンマー事務所
藪本雄登
現地弁護士と協働し、タイを中心にタイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー(CLM)の案件を担当。CLMへのクロスボーダー進出支援業務、M&A、労務、税務、紛争解決案件等を担当。ビエンチャン日本人商工会議所事務局長(2015年)、カンボジア日本人商工会労務委員(2014年、2015年)等を歴任。

One Asia Lawyers (旧JBL Mekong)
One Asia Lawyersは、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、シンガポール、マレーシア、東京、名古屋にオフィスを有しており、日本企業向けにASEAN地域でのシームレスな法務アドバイザリー業務を行っております。各事務所には、日本人弁護士・専門家が常駐しており、ASEAN地域に特化した進出法務、M&A、コーポレート・ガバナンス、労務、税務、知的財産、不動産、訴訟・仲裁対応などについて、現地法弁護士と連携の上、現地に根付いた最適なサービスを提供しております。
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