【連載】徳谷智史のグローバルトップリーダーへの「秘訣」~

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【第13回】顧客基盤強化のツボとは

皆様の率いる組織の顧客基盤は安泰だろうか?最近弊社で特に多いご相談は、「既存顧客で売上は伸びてはいるけれど、実は新規顧客基盤が増えていない」という悩みだ。
今回は、どのようにして効率的に顧客基盤を拡大するかについて考えていこう―。

 ①灯台下暗し

手っ取り早いのは、過去のコンタクトリストをベースに、顧客ごとのステータスを改めて可視化し、優先度を再設定、フォローすることだ。当たり前に聞こえるかもしれないが、前任からの引き継ぎなどがきっかけで、いつの間にか疎遠になっている顧客というのは驚くほど多い。
まずは、これまでの顧客を洗い出し、①案件規模②攻略可能性―の軸で改めて整理、現状のステータスを確認した上で優先度を設定する必要がある。優先度が高いにも関わらず、疎遠になっている顧客別に行動計画を策定することが大切だ。
灯台下暗し。各社の実情を見てみると、あなたが思っている以上に意外な鉱脈が身近に転がっているケースも多い。

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②「芋づる」を狙う

続いては「芋づる」作戦だ。つまりは新規顧客開拓に貢献してくれる、波及効果のある顧客を狙うことだ。
例えば金融機関や証券会社など、付き合っている会社の数が多いクライアントは、他企業を紹介してくれやすいという可能性がある。または、業界大手の会社と付き合いがあれば、ハクがつくため、業界中位企業から「あそこの会社も使っているなら」という印象を持たれ、開拓しやすくなる可能性があるかもしれない。
肝心なのは顧客単体で考えるのではなく、そうした芋づる効果も加味して攻略を図ることだ。単体では赤字でも、そこから広げた顧客で収益があがれば事業としてはOK。視野を広げて考えることが肝要である。

③時間軸を広げる

最後は時間軸だ。「顧客基盤拡大」というと新規企業の開拓ばかりに目が行くが、既存顧客の安定化を図る上では、単なる深堀のみならず、時間軸を広げるという考え方が有効だ。つまり、目先だけの収益を追うのではなく、長く関係を築きやすい(スイッチしにくい)事業展開の割合を徐々に増やしていくことが必要である。
収益を目先のフローではなく中長期のストックで捉えることで、顧客数が同じでも顧客基盤としては大いに安定することになる。
あなたの事業はサービス展開の予定はないだろうか?

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GIVE & TAKEではなく、GIVE & GIVE?

ここまで最近の支援事例を基に、顧客基盤拡大について論じてきたが、大事なのは「求めるばかりではいけない」ということ。
特にアジアにおけるビジネスはきれいごとばかりではない。ここアジアでは多くの経営者が人の繋がりによって助けられていると口を揃える。日本社会では「GIVE & TAKE」がビジネスの基本だが、アジアでは「GIVE & GIVE」と捉えるくらいで良い。日頃から、信頼の貯金をためておくことが重要である。

 

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徳谷 智史(とくや さとし)

エッグフォワード株式会社代表取締役。ASEANビジネス展開支援のエキスパート。
大手戦略コンサルティングファームにて、タイオフィス立上・代表就任後、独立し同社を設立。
日本では教育事業を手掛けるほか、タイ・東南アジア諸国において、日系企業を中心にメーカー、外食、小売、IT、商社など100社以上の幅広い分野の成長支援、展開支援を行う。
東洋経済オンライン、アジア消費者ラボ等メディア掲載多数。
コンサルティング、講演等のご相談は下記まで。

 

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