ミャンマーの最新ビジネス法務

第35回 ミャンマーにおける株主総会

はじめに

ミャンマーの株主総会には①年次株主総会、②法定株主総会(公開会社及び株式資本を持つ保証有限責任会社の場合)、③特別株主総会(①②以外に定められたその他の総会)がある(150条)。日系企業は基本的に全て非公開有限責任株式会社であることに鑑み、今回は①年次株主総会について解説する。

開催時期

設立から18ヵ月以内、その後の少なくとも毎暦年1回、前回の開催から15ヵ月以内に総会開催しなければならない(146条(a))。

ただし、小規模会社(公開会社及びその子会社以外の会社であって、その会社及びその子会社の従業員数が30人以下であり、かつその会社及びその子会社の前会計年度の年間売上が総額5,000万チャット未満である会社)には同規定は適用されない。

招集方法

1.通知

株主総会は、書面による21日以上前の通知(または会社の定款により長い期間が定められている場合はそれ以上前の通知)、公開会社の場合は書面による28日以上前の通知によって招集することができる。

ただし、特定の総会につき通知の受領権限がある株主全員の同意を得れば、株主が適切と考えるより短い期間で、株主が適切と考える方法によって総会を開催することもできる(152条(a)(i))。

書面による通知は、議決権を有する全ての株主、取締役及び監査人に宛ててなされなければならない(同条(a)(ii))。

2.招集権者

(i)取締役による招集

随時、取締役会の議長が召集することができる。または定款の規定に従い、定款に規定されているその他の取締役またはその他の人(一名又は複数)が招集することができる(151条(a)(ii),(iii))。


(ii)株主による招集

定款の規定に関わらず、株式資本を有する会社の取締役は、株主総会で議決可能な総議決権の1/10以上を保有する株主の請求、または少なくとも100人の総会において議決権を有する株主の請求があった場合は、実施を提案された議事が総会で適切に検討することができる種類のものであれば、直ちに株主総会の招集手続きを進めなければならない。


なお、裁判所命令による招集も存在する(151条(a)(x))。

3.通知の記載事項(152条(a)(ii))

・総会の場所、日時

・ 総会の議事の一般的性質(the general nature of the meeting’s business)

・ 総会が年次総会、法定総会または特別総会のいずれであるか

・ 総会で提案される決議案(株主が提案した特別の決議または普通決議を含む)。必要な説明資料を添付した上で記載しなければならない。

・ 代理人または企業代表者の任命に関する情報及び指示(そのような任命の通知を受け取ることができる期間及びその通知の送付方法を含む)

・ 定款または本法規定その他の必要情報

4.通知方法(152条(a)(ii))

総会の書面による通知は、総会で議決することができるすべての株主、すべての取締役及び監査人にされるものとする。通知は以下のように行うことも可能である。


・ 手交
・ 株主登録簿に記録された株主の住所またはこの目的のために株主から通知されたその他の住所への郵便その他の直接送付
・ この目的のために株主から通知されたファックス番号または電子アドレスに電子的に連絡
・ 定款に明記された方法


偶発的な通知遺漏の場合または通知が受領されなかった場合も、総会における通知手続が無効とされることはない。

寄稿者プロフィール
  • 堤 雄史 プロフィール写真
  • TNY国際法律事務所共同代表弁護士
    堤 雄史(つつみ ゆうじ)

    東京大学法科大学院卒。2012年よりミャンマーに駐在し、駐在期間が最も長い弁護士である。TNY Legal (Myanmar) Co., Ltd.代表であり、グループ事務所としてタイ(TNY Legal Co., Ltd.)、マレーシア(TNY Consulting (Malaysia)SDN.BHD.)、イスラエル(TNY Consulting (Israel) Co., Ltd.)、日本(弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所)、メキシコ(TNY LEGAL MEXICO CO LTD)が存在する。タイ法、ミャンマー法、マレーシア法、日本法、メキシコ法及びイスラエル法関連の法律業務 (契約書の作成、労務、紛争解決、M&A等)を取り扱っている。

    Email:yujit@tny-legal.com
    Tel:+95(0)1-9255-201
    URL:http://tny-myanmar.com/
    URL:http://tnygroup.biz/

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