チュラロンコン大学サシン経営管理大学院日本センター提携 『日経ビジネススクールアジア特別講座』が開催

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11月24~27日の4日間、7人の講師によるアジアビジネスをテーマにした全7講座が開かれ、知識、ノウハウ、スキルを身に付けるべく多くの受講者が参加した。

11/27開催 ~ASEAN経済共同体(AEC)発足~6億人市場の攻略法は?~
《 講師:JETROバンコク主任調査研究員(アジア全域)伊藤博敏氏 》

ASEAN経済共同体(AEC)が2015年末に発足AECの成果と課題を洗い出す

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伊藤氏は、AECは年末に一気にガラッと変わるものではない―とした上で、評価できるものと課題について説明。
AECでは徐々に関税撤廃を進め、2015年1月時にはASEAN6で99.20%、CLMVで90.85%の関税撤廃が実行済みだ。原則、域内すべての品目で関税0%を目指しており、一部例外(全品目の内7%まで)も18年までに撤廃されることになっている。
「一部例外にあたるのは農産品などで、工業製品に関するものはほぼ撤廃されているのが実態です」と、伊藤氏はこの成果は十分評価できるとした。
また、ブループリント上の611措置のうち79.5%、最優先で実施すべき506項目のうち92.7%は達成したと公表しているが、限定的な自由化であり運用面までをカバーできていないと指摘。「11月22日、クアラルンプール宣言で発表されたASEAN2025には、今までやり残した宿題を解決し、深化させる目標を定めた『ブループリント2025』が含まれますが、実行面では今後のアクションプランを追っていく必要があります」。

AECの進捗と今後

現在、関税分類や税率などのデータを集約したASEANおよび国ごとのトレード・レポジトリのシステム整備が進められており、年内にも全10ヵ国で運用が開始される。
また、各国が貿易・通関手続きを電子化・一元化するシステム、ASEANおよび国ごとのシングル・ウィンドウが16、17年を目処に一部運用開始されるほか、民間から非関税障壁・措置の撤廃に向け、オンラインでの問題受付窓口の設置を目指している。
まとめとしては、①貿易自由化・円滑化は確実に進展、②サービス自由化交渉は2016年継続、③非関税障壁は大きな進展なし、④ヒトの移動は取り組みがようやく開始された段階、⑤その他、税制(租税条約の相互締結)など進展見られず―ビジネスへの影響は16年以降、段階的に顕在化するだろうと締めくくった。

11/26開催 ~ワールドカフェで職場の一体感を作る~
《 講師:Mindechoe 代表 香取一昭氏 》

業種問わず組織が採用する、注目のファシリテーション手法ローカル社員と始める“ワールドカフェ”

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リラックスした雰囲気の中、会話(ダイアログ)によって参加者全員の納得感が得られるファシリテーション手法「ワールドカフェ」。メンバーのチームビルディングやビジョン、バリューの共有、アイデア創出、コミュニケーションの活性化などさまざまな目的に応用できる手法として、日本では企業をはじめ、自治体、病院、大学などで導入が進み注目を浴びている。
その仕組み、ハウツー、効果を学び、実践することがテーマとなった本講座には、日本人だけでなく、日系企業に勤務するタイ人マネージャークラスも参加した。
香取氏は「『議論(ディスカッション)』の反意語が『会話(ダイアログ)』。勝ち負けの生じない合意を探す作業としての『会話』を中核プロセスとする会話型リーダーになることで、トップダウンではなく、相互を尊重し合うことができます」と説明。

ワールドカフェの進め方

まず各テーブル4~5名の少人数で20~30分の話し合い、最初のテーブルのメンバー1名を残し、ほかのメンバーは次のテーブルへ移動。新たなメンバーではテーブルに残った1名が最初のテーブルで出た意見の要約を伝え、次の議論へ移る。これを3ラウンド繰り返し、最後にテーマにおいて、自分がやっていきたいこと、どんな気付き・発見があったかを簡潔にポストイットに書き出す。

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香取氏は企画に際して、①目的をはっきりさせること(マーケティングを強化したい、売上を上げたいなど)、②誰に参加してもらうのか、③どの問で話し合うのか―が重要なポイントになるとし、会話に参加する際は、自分の考えは保留する、輪の中心に相手を置くことで何を考えているのかを知る、参加者同士の立場をフラットにする、人格とアイディアは分けるなど、最初のルール決めが大事であると解説。
日本人、タイ人ともに参加者は「社内のチームワークを良くするためのテクニックやアイディアを、自社にどう持ち帰るかについて考えたい」と感想を話した。

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