音のプロフェッショナル集団

車内の耳障りな騒音を低減

走行中の自動車内の静粛性は各自動車メーカーの対策により、着実に向上しているが、さらなる騒音の低減が求められている。

音のプロフェッショナル集団である日本音響エンジニアリング株式会社のタイ現地法人「NOE Asia Pacific(以下、NAP)」は、自動車関連の素材や製品の音響性能テストを行える実験室と計測機器を保有、タイをはじめとする東南アジア諸国でのニーズに合わせた性能評価試験サービスを提供している。

高島和博社長によると、自動車産業は現在、より静粛性を高めた付加価値のある製品を生み出そうとしており、NAPは不要な騒音・振動を低減するためのコンサルティングサービスを提供し、製品の品質向上の一翼を担っている。

静かな車を実現する防音材

自動車には音を遮る「遮音材」と空間内の音を減衰させる「吸音材」が使用されるが、高島社長は、「遮音と吸音は実は全く異なる概念で、評価方法も異なります。遮音材は直接的に音のエネルギーを下げることができますが、高い遮音性能を持つ材料は重くなりがちで、燃費性能に悪影響をもたらします。そこで、一旦遮音材を透過した音をさらに空間内の吸音材で減衰させることで、軽量化と静粛性を両立させた設計が可能になります」と説明する。

自動車の中で自然に会話ができるのは、これら防音材のおかげと言っても過言ではない。自動車で使われている防音材は小さなものも含めるとかなり多いのだが、目に触れるところで使われている代表的なものは天井のライニングやフロアカーペットである。それぞれ、外部から車内に入ってくる音を減衰させる遮音材の役割と、車内での音の響きを取る吸音材の役割を兼ね備えている。

これまでタイでは、このような防音材の評価試験をできる機関がほとんどなく、自動車メーカーの評価試験設備も本国ほどは充実していないことから、試験評価の度に海外にサンプルを送って対応している会社がほとんどだったという。NAPのようなコンサルタントの進出により、自動車メーカーや部品メーカーはこれまで以上に現地化を進めることができる。

2018年1月にタイ進出を果たしたNAP。創業2年目を迎え、高島社長は「タイでの研究開発機能を少しずつ拡充する会社が増加しています。その動きに伴い、自動車産業や電気産業のお客様に対して弊社が実験室や計測機器を提供する機会も増えています。NAPはタイで日本の製品を提供するだけでなく、将来はタイで企画した商品を日本に輸出したいと考えています」と、新たな挑戦に向けての決意を語った。

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