【野村総合研究所】タイ、アセアンの自動車ビジネス新潮流を読む

【連載】半歩先読み、タイ自動車市場 ~タイ自動車ユーザの実態と展望~ 第1回 タイにおける新車市場とアフター市場

nri

タイにおける新車市場は、単年での上下変動が激しい。これは、国際的な経済環境の変化はもちろんだが、政策も大きく影響している。2011年から実施された「First Car Buyer」減税は、新車市場を2013年まで大きく拡大させた。しかし、同政策終了後は反動減が起きている《表1》。

nri

また、新車販売台数に占める車種別の構成比も、政策によって大きく変動する。2010年にエコカー政策第1弾が始まると、エコカーの新車販売シェアは、2010年に約4%だったが、2013年には約14%まで拡大した(2014年1月時点のエコカー該当車種について算出)。
新車販売が大きく変動する一方で、実際に利用されているクルマの台数、すなわち保有台数は大きな変動なく数は、2015年に1,400万台に達した(登録台数ベース)《表2》。

nri

結果として、保有台数に基づくアフター市場(本連載では部品交換および修理サービスの市場を指す)も拡大している。
ただし、アフター市場拡大に伴い、そのチャネルは多様化してきている。従来から存在する修理店や部品商、新車ディーラに加えて、量販店の展開が活発だ。大手のB-Quikは、積極的な店舗展開を進めており、タイ全土で125店舗を持つに至っている (2016年5月現在)。

半歩先を読むためのユーザニーズ変化の把握

このような環境下、日系企業はどう対応していくべきか。新車市場に関しては、短期的に影響の大きい政策に目を奪われがちだが、根底にあるのは「ユーザ」である。長期のトレ ンドに加えて、政策が影響した結果、ユーザがどう変化してきているのかが論点となる。また、アフター市場に関しては、チャネルが多様化する中で、日系企業は適切なチャネルを選択・運営することが重要であり、新車市場と同じくユーザの変化把握が戦略検討の起点となる。
本連載では、新車市場とアフターセールス市場を対象に、タイユーザの考えと予測される将来動向、日系企業にとっての今後のチャンスを考察する。
(次回、ArayZ7月号に続く)

執筆者:野村総合研究所タイ

nri
主任コンサルタント
吉村英亮

nri
シニアコンサルタント
山本 肇

nri
《業務内容》 経営・事業戦略コンサルティング、市場・規制調査、情報システム(IT)コンサルティング、産業向けITシステム(ソフトウェアパッケージ)の販売・運用、金融・証券ソリューション
399, Interchange 21, Unit 23-04, 23F,
Sukhumvit Rd., Klongtoey Nua,
Wattana, Bangkok 10110
TEL: 02-611-2951
URL: www.nri.co.jp

gototop