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カンボジア、ラオス、ミャンマーの基本法制度比較 ⑩「投資法比較」

カンボジア、ラオス、ミャンマーの基本法制度比較 ⑩「投資法比較」

ラオスの外国投資関連制度(前編)

ラオスでは、2016年より改正投資奨励法草案の起案、修正および国民議会での協議が行われていました。同年10月11日時点での草案を最新版(以下、最終草案)として、国民議会に提出。議会での手続きを経て、遂に2017年改正投資奨励法(以下、新投資法)が官報に掲載され、17年4月19日より新投資法が施行されています。
なお、経過規定によれば、旧投資法により既に恩典を受けていた投資家や企業等については、そのまま旧投資法の内容が適用されます。もし当該投資家が新投資法上の優遇 措置を受けることを希望する場合は、当局に対して、新投資法の施行後、120日以内に申請を行う必要があります(新投資法第109条)。

新投資法上の投資形態

投資奨励法上の投資形態は現行法上、①国内資本あ るいは外国資本による単独投資、②国内資本と外国資本の合弁投資、③契約に基づく業務提携―の3つの形態のみ規定されていました。それが今回の改正で、④国有企業と民間企業の合弁投資、⑤官民連携(Public-Private Partnership(PPP))による投資―の2つが追加され、計5つの投資形態に分類されています(新投資法第26条)。

新投資法上における④の合弁投資とは、「国有企業と民間企業がラオスの法律に従い、新たな現地法人を設立し、共同の運営権と所有権を持つ投資形態」と規定しています(同法第30条)。また、⑤官民連携は、「新規建設プロジェクト、インフラ整備、公共サービス分野のプロジェクト実施のため、ラオス政府と民間企業による合弁契約に基づく投資形態」とされています(同法第31条)。

今回の改正により、今まで明確になっていなかった官民連携での投資が明確な投資形態と定められ、今後、国有企業・政府と外国民間企業との共同出資による投資をさらに推奨する流れだと理解しています。ただし、官民連携に関する細則の整備は進んでおらず、今後細則の発布等の動向を注視する必要があります。
今回の改正による奨励業種の変更内容、最低資本金規制の変更、恩典内容や恩典享受のための要件は後編にてお伝えします。

(次回ArayZ6月号、「後編」へ続く)

One Asia Lawyersグループ ラオス事務所
タイを中心にCLMのクロスボーダー案件を主に担当し、CLMへの進出戦略の策定、進出後の法務支援を執り行う。

ラオス事務所 内野里美
ラオス常駐担当者。ネイティブレベルのラオス語能力とラオスでの10年以上の実務経験を駆使し、各種法律調査や進出日系企業向けの各種サポートを行う。

One Asia Lawyers(旧JBL Mekong)
One Asia Lawyersは、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、シンガポール、マレーシア、東京にオフィスを有しており、日本企業向けにASEAN地域でのシームレスな法務アドバイザリー業務を行っております。各事務所には、日本人弁護士・専門家が常駐しており、ASEAN 地域に特化した進出法務、M&A、コーポレート・ガバナンス、労務、税務、知的財産、不動産、訴訟・仲裁対応などについて、現地法弁護士と連携の上、現地に根付いた最適なサービスを提供しております。
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